カブシキ!

  • 2014/10/07(火)
  • 諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない。 為末大

    為末大諦める

    世界陸上選手権の2大会で男子400mハードルで銅メダル為末大氏による、「諦める」ことに対する考え方の本。
    一言で言ってしまうと、「早めに見切りをつけて諦めることも大切だよ。才能もないのにずっと努力しても報われないよ。」という箴言をズバっと言ってくれる本です。

    しかも著者が、世界大会で銅メダルを獲ったひとですので、説得力があります。
    決して、途中で諦めた人間が、負け犬てきに言っていることではありません。

    参考になる箇所が多かったので、付箋を打ったところを箇条書きに。

    諦めるという言葉は、仏教では、真理や道理を明らかにしてよく見極めるという意味で使われ、むしろポジティブなイメージを持つ言葉だというのだ。
    「諦」という漢字を調べてみると、「断念する」という意味より先に「あきらかにする」「つまびらかにする」という意味が記されている。



    諦めるという言葉は、今ではネガティブな意味で使われることが多いが、実は「いまこの瞬間にある自分の姿を悟る」という意味なのです。むしろポジティブな言葉と考えていいと思います。
    自分の置かれる現状を正確に把握して、明らかにする。そして、その時点でもっとも正しい判断をする。
    というのが、諦めるという言葉の持つ力だと思います。


    アスリートは20代中盤くらいである程度の勝負が決まってしまう。20歳以降に世界を狙うレベルに飛躍的に成長する可能性はほとんどない。そのあたりからの競技人生は、やってもできない自分、努力しても夢が叶わない自分との戦いになる。どのようにして自分を納得させるか。それでも競技を続けるためのモチベーションをいかに保っていくか。もしくはいつ撤退するか。こうしたことにsん系を集中させていかなければならない。
    ビジネスの世界では、30歳代半ばから40歳代前半あたりがそうした年齢に当たるのだろうか。いずれにしても「先が見えている」ころからは、「やればできる」「諦めなければ夢は叶う」というロジックだけでは人生はつらいものになってくるだろう。



    言い換えれば、ビジネスの世界でも30歳代くらいである程度の勝負が決まってしまうのです。医者の世界でもそうです。
    腕がいいとか、論文を書いて教授になる医者っていうのは、30歳代ですでに頭角を現しています。
    だいたいの医者は、毎日のルーチンの外来をこなして、手術をこなして、平凡な日々をすごしていくのです。ドラマに出てくるようなイベントが起こることはありません。
    一般のサラリーマンだってそうなんですよね。
    いかに早めに諦めるか、というのが重要のようです。


    オリンピックを目指して競技生活を続けたアスリートのほとんどは、一般社会に出てスポーツとは関係のない職業を選ばざるをえない。35歳まで競技生活を諦めなかったアスリートが、社会経験がまったくない状態で就職活動をしたとしても、採用してくれる企業はほとんどない。
    「見込みもなかったのに、なんでここまでやっちゃったんだろう。」
    「こんなことになるんだったら、20歳代の前半ぐらいにいろいろな人に話を聞いておけばよかった」
    元アスリートのこうした声を、マスコミはほとんど取り上げない。取材したとしても感動を呼ぶような話題ではないので、表に出ることはない。



    「諦めるなければ夢はかなう」と言っているマスコミ。本当に夢を諦めずに35歳まで競技を続けたひとを、報道することはないのです。
    35歳で夢に敗れた選手を取り上げても誰も得しないからです。
    マスコミの作り上げた「夢を諦めない」という美談に騙されてはいけません。
    自分のいまいる位置を真剣に検討して、今後も芽が出る可能性が無ければ、早めに方向転換するほうが良いのです。
    諦めるとは、「自分の置かれる現状を正確に把握して、明らかにする。そして、その時点でもっとも正しい判断をする。」ことなのですから。

    「やめなかったからこそできた」
    と、主張する少数派(勝者)の言葉に嘘はないが、現実の社会においては、はるかに敗者のほうが多い。



    「やめなかったけど、出来なかった」というひとは沢山居る。しかし、こんな話は身も蓋もないないので、報道されることはない。こんな身も蓋もない話を他人にするひともあまり居ない。
    やめなかった人の青春を誰かが補償してくれるくれるわけでもないのです。
    どこかで見切りをつけて、路線を変えるのは自己責任でやらねばなりません。


    成功する確率の低い若者たちに「君は、この先に進んでも成功するのは無理だよ」と言ってあげる大人が必要なのではないだろうか。



    必要なんですよね。
    はっきりと無理だよって言ってあげるひとが必要なんですよね。
    でも、「無理だよ」って言葉自体が許されない空気があるので、この言葉をひとに言うには勇気がいります。


    日本では「やめる」「諦める」という行動の背後に、自分の能力が足りなかったという負い目や後ろめたさや敗北感を強く持ちすぎるような気がする。
    「自分には合わなかった」
    本質的には、ただそれだけのことではないだろうか。



    「やめる」ことに対しては、ネガティブなイメージがつきまといますが、本当はただ合わなかっただけでやめてもいいってことなんですよね。
    合わなかったから、すぐに切り替えて他のことを始めるので、いいんだって空気がもっと日本全体に広がればいいと思います。だって合わないんだもん。

    よく周囲との関係を断ち切れないと言いながら、自分が居ないと日常が回らないと思うことで安心している人が居る。本当は自分が居なくても社会は回り続けるのに、それを思い知らされるのが怖いのだ。



    おそらく、わたしが医師という職業をやめるときに、この感情がネックになりそうだと思っています。
    今のところ医師をやめるつもりはありませんが、いざそのときになったら、「自分が居ないと、仕事が回らないから」などと言い訳をしながら、なかなか仕事をやめられないんじゃないのかなあと。そのときに、この本を思い出したいですね。
    「あなたが居なくても、その仕事は回るよ。」

    やらなくてもいいことはやらない、付き合わなくてもいい人とは付き合わない。そう割り切ると、思いもしなかった自由さが手に入った。



    一度築き上げた関係をリセットして、別の集団と関係を築くことはとてもこわいし、面倒なんですよね。できればいま持っている人間関係を継続していきたいという感情は誰にでもあると思います。
    思い切って、人間関係をリセットしてしまうと、別の場所に新しい人間関係ができて、もっと世界が広がってくるはずです。


    生きていくためのサイズを小さくしておけば、やらなければならないことが減っていく。何かをやめることも、何かを変えることも容易になっていくのだ。(中略)人が不安になるのは「これがなくなったら大変だ」と思うからだ。不安の種になりそうなものをあらかじめ捨てておくと、不安から自由になれる。



    やめられない、諦められない理由に、「Too big, too fail」というのがあると思います。大きすぎて潰せない。
    予め、大きくなりすぎないようにサイズを調整しておけば、いつでもやめられるんですよね。きっと。
    大きくなりすぎるのも問題なんです。


    「諦める」ことをテーマに書かれた本ですが、まったく悲壮感はなく、むしろ前向きなことがたくさん書かれている本のような感想を持ちました。諦めるってことはきっとポジティブなものなんだということが、為末氏の言いたかったことなんだと思います。
    アスリートというのは、松岡修造氏に代表されるように、なにがなんでも諦めるてはダメだって謳う人種かと思っていましたが、為末氏はものすごく冷静に自己を分析して、諦めることもひとつの選択肢であることを考えているひとです。
    諦めることをポジティブに捉える論調は、世間には受け入れられないし、マスコミも相手にしないでしょう。(数字がとれないので)
    しかし、諦めることが大事なのは間違いないし、人間は誰でも諦めることの連続を繰り返してきた結果いまの自分があるはずです。
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