カブシキ!

  • 2014/03/19(水)
  • 医療化の功罪 名郷直樹

    精神科治療学という医学雑誌。
    Vol.28 No.11 Nov. 2013 には、早期診断・早期治療の功罪という特集が組んである。
    そのなかの「医療化の功罪」という文章が秀逸だった。

    抄録より

    医療化はそれまで医療の対象ではない分野が新たに医療の対象とされることを指す。
    それにより恩恵を受ける人がいる一方、害を破る人もいる。
    この害の部分についての情報はきわめて制限されており、情報開示が必須である。

    その中には治療薬が開発されたために対象患者を探すという動きもあり、大きな問題である。

    医療化自体を止めることは難しいが、医療化の負の面について情報提供していくことがさらに重要になるだろう。



    名郷直樹先生は、研修医の教育などに力をいれておられ、科学的根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine)を実践している先生だ。
    風邪症候群に対して、抗生物質を処方するなどの、根拠なき治療を一刀両断する。

    その名郷先生の書く本稿では、いままで治療の対象とならなかった事柄が、治療の対象となり、
    新しい薬が投与されるような例を挙げて、これを「医療化」と呼んでいる。

    医療化されることで、新たにその恩恵を受けるものが居る。これが医療化の「功」であるが、ここで問題にされているのは、医療化の「罪」である。

    製薬会社が新しい薬を開発したとき、薬を売るためにはマーケットが必要である。
    マーケットとは、その薬を飲んでくれる患者だ。
    患者に薬を処方するのは医者である。
    製薬会社の立場からみると、薬を買ってくれる患者が居て、薬を処方してくれる医者がいれば、商売が成立する。
    なので製薬会社はただただ、薬の「功」の部分だけを大きく取り上げて宣伝していく。
    その影には、必ず薬の「罪」の部分で苦しむことになるひとが存在するはずであるが、「罪」の部分に光が当たることはない。

    例えば、肺がん検診。
    以前に、肺がん検診に胸部レントゲンではなく、胸部CTを導入してはどうかという検討があった。
    胸部レントゲンよりも、胸部CTのほうが簡単に肺がんを発見できるからだ。
    しかし、胸部CTには「被曝」という重大な「罪」がある。
    肺がんを発見できるという「功」と被曝という「罪」を天秤にかけて、このときは「罪」のほうが重かった。
    肺がん検診へ胸部CTを用いることは見送られた。

    この例のように、医療化には功と罪があり、必ず功と罪を天秤にかけて、医療化の導入を検討すべきである。

    しかし、多くの医療化では「功」の部分のみが検討され、「罪」が軽んじられる。このようにして医療化は肥大化の一途をたどり、医療費はどこまでも膨らんでいく。

    名郷直樹先生のように、医療化の「罪」を声高に叫んで行く医師は嫌われる。
    もちろん、名郷先生の言っていることが正しいのであるが、検診業界や製薬会社にとって、医療化の「罪」はそのマーケットを縮小させる因子であり、徹底的につぶしておかねばならない。

    そして、医療化の「罪」はマーケットに潰されて、今後も語られることは無いのである。

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