カブシキ!

  • 2013/06/08(土)
  • 臆病者のための裁判入門 橘玲

    臆病者のための裁判入門

    橘玲氏の著作です。

    いつもの、経済をテーマにした著作とは全く異なるテーマを扱っています。

    テーマは「裁判」

    著者はひょんなことから知人の外国人男性の保険金受け取りをめぐるトラブルの解決を手助けすることになりました。
    非は完全に保険会社にあることがわかり、すぐに解決するかに見えましたが、事態は思わぬ方向に進展し、ついに「少額訴訟制度」を利用して、裁判に訴えることに。
    「少額訴訟制度」とは、請求額が60万円以下なら、簡易裁判所で審理から判決までを原則1日で行ってくれる制度です。市民が身近な紛争を裁判で安価で簡便に解決できるように1998年に作られました。
    日本を「法の支配」が行き届いた「法化社会」にしよう、という思いが、この「少額訴訟制度」には込められています。
    しかし、著者と知人の外国人男性は、摩訶不思議なニッポンの裁判制度の闇に迷い込んでしまいます。どこに行っても、悪い人には会わず、善意の人ばかりなのに、簡易裁判所と地方裁判所をたらいまわしにされ、少額の保険金と賠償が得たいだけなのに、多大な時間と労力を費やすことになってしまいました。一日で終わるはずが、決着を見るまでに何と二年半の歳月が流れていました。
    その体験を元に日本のニッポンの「使えない」司法制度の問題点を解明したのがこの新書です。問題の一端は、「少額訴訟制度」で扱える紛争の種類が家賃未納や交通事故の損害賠償など定型的なものに限られていること。
    著者が関わったようなちょっとこみいった訴訟になると簡易裁判所では扱ってくれないのです。
    公正中立な「法化社会」を建設する過渡期にあるニッポンで、素人が少しでもややこしい訴訟を始めるとどんな目に遭うのか?
    その一部始終がわかる貴重なルポであり、身近にはなったけれど、まだまだ使い勝手が悪いニッポンの裁判を使いこなすための画期的な入門書でもあります。(Amazonの紹介文より)



    ほとんどの人は、一生裁判の原告にも被告にもならずに一生を終えます。
    わたしは、軽微な経験ですが、被告になったことがありますし、身内が被告になったことがあります。といっても、刑事事件ではありません。

    本書の前半は、Amazonの紹介文にあるように、橘玲氏が友人の外国人男性の代理人となり、保険会社を相手に少額訴訟を起こしたことが記述されています。
    読み物として、非常に面白いです。スラスラ読めます。


    後半は日本の裁判の問題点がいろいろと書かれています。
    橘玲氏は、出版社に勤務していた経験があり、その時に少なからず裁判で訴えたり、訴えられたりという経験があるそうです。

    以下、面白かったところを箇条書きで。

    少額訴訟
    ・少額訴訟制度は1998年に創設され、60万円以下の事件を扱う。その特徴は、個人の本人訴訟を前提とし、原則として一日で審理を終えて、その場で判決が下される。
    ・大抵が貸金請求や、売買代金請求で、貸したお金を返してもらえないとか、商品を送ったのに支払いがない、というような少額の紛争が行われる。
    これらの傍聴はとても面白いらしい。
    一度は傍聴してみたい。

    民事訴訟と名誉毀損
    ・民事訴訟では、被告は原告が主張したことだけに反論すればいい。原告が事実を立証できなければ、それだけで被告は裁判に勝つことができる。事実認定を争う民事訴訟は、もともと原告が不利、被告が有利な仕組みになっている。
    それに対して、名誉毀損はプライバシーを侵害し社会的評価を貶めるような虚偽の報道をされたという訴えだから、挙証責任は報道したメディア側にある。名誉毀損で訴えられたメディアは、公益に資することを目的として、十分な取材のもとに、真実であると信ずるに足る理由をもって報道したことを証明しなくてはならない。原告はメディアの主張に個別に反論していけばいいだけだから、一般の民事訴訟とは攻守が逆転している。
    (三浦和義が拘置所にいながら、本人訴訟でメディアを相手に名誉毀損の訴えを起こし、連戦連勝できた理由。)

    判決はケツ拭く紙ほどにも役に立たない
    判決で負けても賠償金を払おうとしない被告。そうようなときのために強制執行の制度があるが、日本ではこれが機能していない。
    債務名義とは、強制執行の対象となる債権の存在および範囲を公的に証明する文書で、財産の名義人が債務名義と同一の場合は、執行官はその財産を差し押さえることができる。だがこのことは、逆に言えば、財産の名義を変えてしまえば強制執行はできないということだ。
    これを利用して、被告は裁判に負けそうになると、銀行預金などの妻や子供の名義に変えてしまう。たったこれだけで、もはや裁判に勝った債権者は被告の財産を強制執行できなくなる。
    自分の財産を子供に譲れば、ふつうは贈与税が発生する。だが日本の税務署は実態基準で納税義務を判断するので、たとえ銀行預金が子供の名義になっていても、その口座を実質的に親が支配していると判断すれば贈与とはみなさない。
    裁判所は子供名義の預金が被告の財産だという客観的な証拠がなければ強制執行を認めない。ところが日本では、裁判所の判決があっても国税庁に税務情報を照会することはできず、公権力以外には銀行の取引内容を調査することもできないのだから、被告はなんの苦労もなく強制執行を逃れることができる。


    2ちゃんねるの創始者西村博之
    西村博之氏は、未払いの賠償金や、裁判所の仮処分に従わないことに対する制裁金は少なくとも5億円以上に上るとされている。
    「支払わなければ死刑になるのなら支払うが、支払わなくてもどうということはないので支払わない。」と述べている。
    民事訴訟で負けて賠償金を支払うなんてバカバカしいだけなのだ。


    以上のような面白い話がたくさん書いてあります。
    また、われわれが加入している自動車保険などには、ほとんどに弁護士費用特約が付いています。弁護士を雇わなくてはいけないような紛争に巻き込まれても、自動車保険で弁護士費用が賄えることがあるのです。
    知らなかったでしょ?
    このことは、特約はつけたけど、それを利用させない保険会社の責任であり、今後広く社会に広報すべき内容だと思います。

    いつも単純明快な文章を書いてくれる橘玲氏。
    裁判でも明快な文章を書いてくれました。
    スポンサーサイト

    « ユニカフェの太っ腹優待 2013年|Top|USSの優待案内 2013年3月取得分 »

    コメント

    コメントの投稿

    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    http://kabushiki.blog32.fc2.com/tb.php/1859-2d98040c

    Top

    HOME

    ss

    管理人: ss
    住所:広島県
    年齢:30歳代
    投資:buy & hold 株主優待
    趣味:サッカー(サンフレッチェ広島)、お笑い、映画、読書、マラソン
    職業:内科医

    Twitter:
    https://twitter.com/kabushi_ss

    Mail to:
    kabushiki_ss@yahoo.co.jp

    株ブログ 株主優待へ
    病気ブログ 医者・医師へ

    月別アーカイブ