カブシキ!

  • 2011/05/05(木)
  • 投資戦略の発想法 木村剛


    投資戦略の発想法木村剛


    この本の良いところは、投資に入る前に、「まずは自分の目の前の仕事を全うしろ!」と説いているところです。

    「投資」と一口に言いますが、最も重要でありかつ効率的でなければならない投資は、自己投資にほかなりません。

    数ある投資本の中でも、まずは自分の能力、自分の仕事のために投資しろと書いてある本はこの本くらいではないでしょうか。

    1.自分の価値を高めること。
    2.節約。



    さらに本書では、投資の前に「節約」について説いています。

    投資のついての話が始まるまでに、本の半分くらいが割かれているのです。


    僕はこのスタンスに大いに賛成です。
    株に投資するよりもまずは自分に投資する。株を買う前に、自分の生活を見なおして節約できるところは徹底的に節約する。
    とても大切な事です。自分自身に価値がないのに、投資などはもってのほかです。まずは自分を「価値のある人間」に育てましょう。

    そして、節約は投資よりも価値があります。生活のなかにある無駄を洗いだして、徹底的に節約しましょう。10%の節約をすることは、投資で10%のリターンを得ることよりも価値があります。


    さらにさらに、著者は株を始める前に、生活防衛資金を確保せよ!と警告します。年間の生活費の2年分は確保してから、投資の世界に入りなさいと警告します。
    年間の生活費が500万円なら、まずは1000万円の生活防衛費を確保せよ。というのが著者の主張です。
    かなりハードルが高いと思いますが、僕もこの意見に賛成です。2年間の生活防衛費のないひとが、「投資」と騒ぐのは時期尚早です。

    もっと言ってしまうと、、、
    住宅ローンが残っている人が、投資の話をするのは、ご法度です。まずは住宅ローンを完済してから投資のことを考えましょう。

    というのが本書のスタンスです。

    殆どのひとには、「厳しいハードル」が最初から設定してある本です。この本に書いてあるハードルを現時点でクリアしているひとは殆ど居ないでしょう。
    そういう意味で、この本は良書だと思います。本当に投資の本質がわかるひとだけで手にすることのできる本だと思います。


    僕が付箋を打った箇所を箇条書きで挙げます。


    ・Glow rich slowly.
    ゆっくりと、確実に、財産形成をしていけばいいのです。
    残念ながら、派手に儲かることはないでしょう。万馬券を当てるようなスリリングな興奮は絶対に経験できない。一夜にして大金をということもない。そういう意味で、心の底から「やったぜ!」という高揚感を感じることはできないでしょう。
    これが「Glow rich slowly.」です。

    ・2005年から2006年度には消費者物価が前年比プラスに転じるというのですから、歴史的な低金利時代に終止符が打たれる可能性は日々高まっているのです。
    (この本は2005年に書かれたものです。2011年5月現在、日本はまだ歴史的な低金利時代に終止符を打っていません。6年も前から「低金利時代がおわる。」と謳われていたのです。)

    ・失敗を恐れてはいけません。誰でも失敗するのですから、そんなものはどうでもよいのです。失敗から何かを学べばよいのです。名経営者といわれている人たちも例外無くみな失敗しています。失敗よりもなにもしないことを恐れるべきです。

    ・仕事の収入をいくらまで貯蓄に振り向けられるのかが重要です。節約という投資エンジンを通じて、その金額を最大化する必要があります。

    ・(経済学という学問について)
    理論の効用は(少し逆説的な表現をすれば)それが現実と一致しないところ、否定されるところに存するといってもよいのではないか。理論は一般的に人々が『現実』と考えているもの、それ自体を描くものではない。それが現実を描くものだと考えるから、理論に基づく実践が不幸な結果に終わることが多いのである。理論は、むしろ現実をより深く知るために否定され、犠牲にされなければならない『捨石』のようなものではないだろうか。
    猪木武徳『デモクラシーと市場の論理』

    ・ゆっくりと着実に、しかし長期間株式市場にとどまりつづける――
    それが、個人投資家のみができる必勝の投資戦略なのです。

    株価の下落は驚くべき出来事ではなく、繰り返して起こるもので、ミネソタ州の極寒の大気のように当たり前のことである。寒い気候の中で生活していれば、気温が氷点下になることは慣れっこになり、外気が零度以下に下がっても次の氷河期が始まったと考えたりはしない。防寒具を着こみ、道路の雪を取り除く。時が経てば、暖かくなることはわかっている。
    ピーターリンチ

    ・投資ビジネスにとって、最も危険なことは〈今度こそ違う〉という言葉である
    ジョン・テンプルトン

    ・個人投資家が調べようとしている数字や材料は、もう株価に加味されてる。

    ・短期的なアプローチの欠点を示すために、・・・投資家がそれによってどれほど損害を被ってきたかを示そう。一つはマーケット・タイミング戦略である。これは相場の一時的な下落を予想して資産配分を株式から債券やキャッシュに移し、また次の相場の上昇にうまく乗ろうと債券やキャッシュから株式に移すやり方である。しかし、ほとんどの投資家にとってマーケット・タイミング戦略は逆の効果をもたらす傾向がある。相場が下落するときに市場から逃げ遅れ、逆に相場が反騰するときには蚊帳の外に置かれがちなのである。
    「ベルが鳴っていつ市場に参入し、いつ退去すればよいのかがわかる」という考えは全く信用できない。わたしは50年近くこの業界に関わっているが、それによって成功し続けているひとにお目にかかったことはない。また、そういうひとを知っているという話を聞いたこともない。それでもマーケット・タイミング戦略は、・・・・ますますもてはやされているようである。
    ジョン・C・ボーグル「インデックスファンドの時代」

    ・ランダム・ウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」ということを意味する言葉である。これを株式市場に当てはめると、株価が短期的にどの方向に変化するかを予測するのは、難しいということだ。・・・ランダム・ウォークの最も端的な主張によれば、目隠しをしたサルに新聞の相場欄めがけてダーツを投げさせ、それで選んだ銘柄でポートフォリオを組んでも、専門家が注意深く選んだポートフォリオとさほど変わらぬ運用成果をあげられることを意味するからだ。
    バートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー」

    ・「曲突、薪をうつすは恩沢なく、焦頭爛額、上客となすや」
    将来起こりうるリスクを予見して苦言を呈するものは嫌がられ遠ざけられます。その一方、普段は甘言を弄し、危機に至れば危機処理に対するひたむきさを売り物にする愚か者が寵愛を受けます。
    「霍光伝」
    (医学の世界でも、病気を予防するように指導する医師は嫌われます。(生活習慣病にならないようにタバコをやめるように言う医師は嫌われます。)しかし、心筋梗塞になってしまった患者を心臓カテーテル法で救った医師は神のごとく賞賛されます。ここに予防医学に人気がない理由があります。)

    ・インフレに強い企業。無借金経営の輸出企業。


    非常にためになる本でした。

    ゴールデンウィークの読書。
    本書を読めただけで、非常に有意義なものとなりました。
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    コメント

    予防

    私は車の修理屋ですが同じです。
    故障の予防整備を進めると嫌われます。(オイル交換や洗車などです。)
    難度の高い修理(エンジンオーバーホールや大破修理)をすると神様扱いですが、普段から点検整備していれば壊れないのにな、といつも思います。

    ただお医者様と違うところは、請求書を渡すと最後にもう一度嫌われてしまうところです(笑)

    >ニャーゴさん

    「曲突、薪をうつすは恩沢なく、焦頭爛額、上客となすや」
    いい言葉ですね。

    普段から車が壊れないように予防しておくことが大事ですね。

    株式投資や人生設計でも、予防が大事です。(生活防衛費や、株のリスクヘッジ)
    この本には「まずは生活防衛費を確保せよ!」と繰り返し説いています。非常に良い本です。

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    中国が侵略してくるから防衛費上げるよ 何に使えば効率がいいだろうか?

    1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2012/05/28(月) 20:51:44.71 ID:8dHjYg6d0 ?2BP(3002)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120528-00000113-jij-pol中国進出にらみ防衛費増額を=外相...

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