カブシキ!

  • 2010/05/19(水)
  • 永遠の旅行者 橘玲 上下巻

    永遠の旅行者上 永遠の旅行者下

    橘玲の小説です。

    マネーロンダリングに続いて読みました。

    舞台は東京、ハワイ、ニューヨーク、香港、、
    主人公は32歳くらいの青年、真鍋恭一。日本で弁護士をしていたが、ドロップアウトして、PTとなった人物です。
    PTとは、perpetual travelerの略で、永遠の旅行者と邦訳します。

    日本国の非居住者となることにより、税金を支払うことを回避します。
    訪れた土地でも、居住者にならない期間だけ滞在し、ずっと旅行を繰り返すことで、税金を払いません。とてもスマートな生き方です。

    前作の秋生と似ています。

    実際にマネーロンダリングにでてくる「マコト」なる人物が登場しますし、恭一はマコトのサイトでいろいろ勉強したと語られます。


    元弁護士・真鍋恭一に、見知らぬ老人麻生から手紙が届く。「二十億の資産を息子ではなく孫に相続させたい。ただし一円も納税せずに」重態の麻生は余命わずか、息子悠介は百五十億の負債で失踪中、十六歳の孫まゆは朽ちた家に引きこもり、不審人物が跋扈する。そのとき、かつてシベリア抑留者だった麻生に殺人疑惑が浮上した―。謎とスリルの上巻。

    まゆは幼い頃に母を殺された未解決事件にまだ苦しんでいた。アメリカで失踪した悠介の居場所はつかめない。麻生の死期は迫る。真鍋には時間がなかった。そもそも麻生はなぜ無税の相続に拘るのか?そして、まゆが何者かに誘拐された―。人間の欲望と絶望、金と愛情、人生の意味までを、大胆かつ繊細に描ききった新世代の『罪と罰』完結。



    いままで橘玲氏の著作で述べられてきた節税のためのスキームに加えて、この小説では、PTとしての生き方の光の部分が書かれています。
    主人公の恭一は、PTとして自由に生きており、非常にかっこよい存在です。

    実際に読んだ人はPTの生き方に憧れること、間違いなしでしょう。僕も例外なくPTに憧れました。


    この本で、印象に残ったことを箇条書きに。

    ・マネーロンダリングや海外投資、PTのスキームを扱う、「マコト」のサイトには、医師や弁護士、公認会計士などの社会的地位のある人間が集まってくる。
    しかし、その大半は本業では「落ちこぼれ」だった。
    (笑)僕は医師であり、海外投資やPTに興味を持っています。そういう僕は医師としては落ちこぼれなのでしょう。

    ・小説には、アメリカの医療の現状も詳しく登場します。そのなかでもっとも印象に残ったのは、
    ERと呼ばれる救命救急病棟では、患者の支払い能力の有無に関わらず法律によって治療を拒否することができない。治療費のほとんどは、病院が請求しても支払われることはない。その結果、ERを持つ病院は大きな赤字を抱えて経営破綻し、一部の病院にさらに多くの患者が集まるという悪循環を起こしている。

    という部分。
    アメリカには、約4000万人の医療保険に入っていないひとがいると言われ、その殆どの人がまともな治療を受けられないのかと思っていました。しかし、ERは違うのですねー。ERの持つ、最後の砦としてのこの機能は、日本の病院であればどの病院でももっている機能です。日本の病院では、患者の支払い能力によって治療を拒否することは、法律で決められています。なので、殆どの病院で、治療費が回収出来ずに、赤字を抱えています。

    ・アメリカの巨大な病院には、裁判所の出張所もある。
    傍聴席がわずか20席ほどの小さな法廷で、週2回裁判所から判事がやってきて入退院の可否を判断する。電気ショック治療はもちろん、患者が服薬を拒否した場合も裁判所の命令がなければ、治療を強制できない。



    上下巻あるとても長い小説ですが、その大半は、PTやそれを取り巻く法律、税制、国籍、などなど。アメリカのホームレス事情や、スラム事情、日本の不動産事情、さらには、第一次世界大戦後のシベリアでの強制労働などの説明で紙面は割かれています。しかし、その説明たちがスムースに小説のストーリーのなかに溶け込んでいて、いやらしさは全く感じません。むしろ、橘玲氏のほかの作品のエッセンスたちが凝縮されているようで、とても楽しく読めました。

    PTって本当に自由な生き方だなあと関心しました。
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