
2016年7月3日の朝日新聞の別冊、GLOBEは医者とカネといういかにもわたしのために書かれたようなタイトルでした。
この特集は、「医療」にかかるお金の問題ではなく、医者自身のギャランティーのお話です。
我々医師のフトコロ具合を探られるような感覚があって、すこし読むのを躊躇しましたが、、結局は非常に興味深く読めました。
まず、「砂漠に医者を集めるドバイ」という項目では、ドバイ国際空港の近くにあるヘルスケアシティを取り上げていました。
ここには、160の病院や診療所、59カ国から集まった1000人以上の医師が働いているそうです。
ここで働く医師たちは、より「稼げる」場所をもとめてドバイにやってきたようです。
日本の医師の殆どは、病院に勤務して、病院から給料をもらっています。基本給があって、時間外手当があって、当直料があって、、、殆どの会社と同じで、年功序列です。成果や実力に応じて報酬があがることはありません。
いくら腕がよくて、人柄がよくても、実力に見合った給料をもらってないと不満をかかえることが多い仕組みになっています。
このような勤務体系に嫌気がさして、より「稼げる」環境をドバイに求めてやってくる医師も居るようです。
英国からやっていきた炎症性腸疾患を専門とする医師は、ドバイにきて月収が3倍になったようです。さらにドバイには所得税がないため、可処分所得は大いに増えたそうです。
稼げる医者はドンドン稼げて、稼げない医者は淘汰される。資本主義の原則のような世界がドバイにはあるようです。
自分の労働環境に不満を持っている医者はたくさんいるようなので、腕と知識と英語力に自信があれば、ドバイで働くのもアリなのでは?と思いました。
「医者が逃げ出すルーマニア」では、ルーマニアの医師の給料の現実が書いてありました。
ルーマニアの医師は、他の職種(会社員など)と同等のようです。
ルーマニアのEU加盟を契機に、医師はEU圏内で自由に行き来できるようになり、より高い収入を求める医師は国外に流出してしまったようです。
定数の半分の医師しか居ない病院もあり、このままでは医療が崩壊してしまいそうです。
「医者は金だけで動くわけじゃない。ほとんどの国では、医者の給与はトップクラス。金額よりも、医者としてのプライドの問題なんだ。」と話すルーマニア人医師も居るようです。
医は仁術なりといいますが、我々医者は霞を食って生きているわけではないので、やはり収入が必要です。
より責任のある、専門性が求められる仕事をして、高い収入を得ることは当然と考えています。
「スーパードクター育ちにくい国」では、勤務医の平均年収1098万円、開業医の平均年収2675万円という数字が堂々と書かれています。
勤務医は、どんなに頑張っても年収を増やすことはできず、2000万円くらいで年収が頭打ちになるみたいです。
日本では、いくら手術をして働いても、年収が増えることはなく、いくらサボっても年収が減ることはありません。偉そうに書くと、我々医者は、労働の成果が給与に反映されるわけではないのに、目の前の患者さんのために自分の知識と技術を生かして働いているということです。
「医者は将来余るのか」
毎年4000人のペースで医者が増えています。
それでも医者は足りないのか?というと、そうではなく、医者が都市部に集中しすぎており、地方に医者が足りないと解説します。
しかし、2033年ころからは医者が余る時代が確実にやってくるようで、医者が余ると医者間での競争が起こると書いてありました。
その頃にはわたしはかなりのベテランになってますが、医師間の競争に勝つことができるでしょうか。
その頃には株式投資で成功して引退しているでしょうか(笑)
非常に興味深く読めました。
ありがとうございました。
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