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カブシキ!

  • 2017/01/08(日)
  • 修羅の終わり 貫井徳郎 ネタバレあり

    修羅の終わり

    久しぶりの貫井徳郎です。

    「あなたは前世で私の恋人だったの」。謎の少女・小織の一言を手がかりに、失った記憶を探し始める。自分は一体何者だ?姉はなぜ死んだ?レイプを繰り返す警官・鷲尾、秘密結社“夜叉の爪”を追う公安刑事・久我、記憶喪失の〈僕〉が、錯綜しながら驚愕のクライマックスへと登りつめる、若き俊英の傑作本格ミステリー。

    文庫本で800P もある作品ですが、、
    かなりの駄作でした。読まなことをオススメします。

    本作品では、3つのストーリーが交互に展開していきます。

    第一は、スパイ活動をする公安刑事
    第二は、強姦を繰り返す元警察官
    第三は、記憶をなくした青年

    この3つの視点から、物語が展開されます。
    しかしこのうちひとつは全く関係ないストーリーなのです。どのストーリーとどのストーリーが絡み合っていくのか、どこで交差するのかを楽しみに読みましたが、、

    いろいろと敷かれている伏線が回収されずに終るという、、圧倒的な消化不良!

    結果的には、第一の公安刑事に恨みを持った第三の青年が公安刑事を殺害するという結末です。
    で、そこがそう繋がったのか!!とはならずに、疑問だけが残り、さらには「第二のストーリー」はなんだったのか??という残念な読後感が、そこにありました。

    もしかしたら、第三のストーリーに出てくる真木(青年)が、第二のストーリーにでてくる白木なのかもしれません。
    しかし、この事実は伝えられずに明確な描写もなく終わってしまいます。

    交番に爆弾が投げ込まれる事件や、犯罪組織の夜叉の爪、元警察官が追っていた売春組織、どれも投げっぱなしで、正体がわからぬまま終わってしまいます。これも消化不良。

    読書に時間だけ消費してしまって、残念な結果に終わりました。。
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  • 2010/11/09(火)
  • 光と影の誘惑 貫井徳郎

    光と影の誘惑

    銀行の現金輸送を襲え。目標金額は一億──。巧妙に仕組んだ強奪計画は、成功したかにみえたのだが……。男たちの野望と裏切りを描く表題作を含む、珠玉のミステリー中編4編。

    貫井徳郎です。
    1冊の中にミステリーが4編入っています。

    僕のお気に入りは、表題作の「光と影の誘惑」です。貫井徳郎らしい作品です。
    「慟哭」のようなトリックで書かれていますが、最後までトリックを見破ることができませんでした。

    物語の中では、小林という男が人生を逆転するために、銀行員の男を騙して一億円を得るという行為を計画します。小林は生まれたときに既に父親はおらず、母親に女手一つで育てられた過去を持ちます。その母親も小林が高校生のときに他界します。
    絵に描いたような恵まれない環境です。

    僕が思うに、男は人生において、「一度は命をかけて人生を変えようとしないといけない」と思っています。小林にとってのそれは銀行員を騙す行為であったのです。犯罪に手を染めることは良くないので、殆どの男にとって、人生を変えようとするほどの大きな出来事と言えば、「大金をかけてギャンブルに挑む」とか「片道切符だけ持って外国に旅立つ」とか「思い切って仕事を辞めて独立する。」とか「修行僧のように篭って勉強する」とかではないかと思います。すこし極端な例を挙げましたが、本気で人生を変えようと思えばそれくらいの行為が必要なのです。

    それくらいの決意をしたことがない人間は、いつまでたっても凡庸なままです。凡庸な人生を過ごして、凡庸なまま死んでいきます。

    小林は競馬ばっかりやっている碌でも無い人間ですが、きっちり一億円をゲットするという大仕事をやってのけます。男なら人生を賭けた勝負をするべきだ!僕は最近そう思うのです。さて、僕にとっての人生を賭けた勝負ってなんでしょうか。

    話が逸れました(笑)
    兎に角、すばらしいトリックの小説です。ご一読を。

  • 2010/08/29(日)
  • 崩れる 結婚にまつわる八つの風景 貫井徳郎

    崩れる貫井徳郎


    貫井徳郎の短編集です。

    8つの短編が収録されています。すべての短編が結婚にまつわるエピソードからなります。
    この短編を読むと、結婚をしたくなくなりますので、ご注意ください(笑)

    つまり、結婚にまつわる「負」の部分が精密に描かれています。さすが貫井徳郎氏です。
    分かっています。結婚とは、負のエピソードの集合体なのです。良いことなんてありません。

    収録されている作品のひとつに、「壊れる」という短編あります。現在不倫をしている男性、女性には是非読んでもらいたいと思います(笑)不倫はとっても怖いです。


    貫井徳郎氏は、女性の心理を描写するのが非常に上手です。特に、「妬み」の感情をうまく使って小説を構成する力を持っていると思います。妬みなんて負の感情なのですが、これが他人の「妬み」となるととても面白いんですね。妬みを題材にした小説が面白くなくないはずがない!

    現在独身の人に読んでもらいたい作品群です。

  • 2010/08/26(木)
  • 天使の屍

    貫井徳郎です。

    天使の屍

    深かった中学二年の息子・優馬がマンションから飛び降り、自殺を遂げた。動機を見出せなかった父親の青木は、真相を追うべく、同級生たちに話を聞き始めるが…。“子供の論理”を身にまとい、決して本心を明かさない子供たち。そして、さらに同級生が一人、また一人とビルから身を投げた。「14歳」という年代特有の不可解な少年の世界と心理をあぶり出し、衝撃の真相へと読者を導く、気鋭による力作長編ミステリー


    とんでもない作品ですね。
    発想がぶっ飛んでます。

    まず、中学2年生14歳が連続自殺するという発想がすごい。しかもその事件の背後に大きな社会問題を隠しており、手の込んだ作品になっています。

    中学2年生の息子、優馬を亡くした父、青木がこの物語の狂言回しです。
    そして、彼自身が事件の真相に近づこうと、さまざまな推理、捜査を行ないます。この辺の設定にすこし無理がありますが、彼は警察の捜査力に優ってしまい、事件の真相を捉えます。

    結果的に、青木は警察には事件の真相を話しません。

    最後まで真相を見抜けずに悶々としますが、最終的に伏線がすべて回収される形になっており、非常によい小説だと思いました。

  • 2010/08/17(火)
  • プリズム 貫井徳郎 (ネタバレあり)

    プリズム貫井徳郎

    小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓の鍵、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが…『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んだ衝撃の問題作

    貫井徳郎にハマッテしまい、気がついたら、貫井徳郎を大人買い。
    家に貫井徳郎が8冊あります。

    今回読んだ「プリズム」は新しいタイプのミステリーです。
    この小説には、結末が存在しません。10の推理が披露され、「さあ、あとは読者で考えて。」といったタイプの小説です。
    なんとも後味が悪いですが、そこが貫井徳郎の意図でもあるような気がします。

    4章からなりますが、各章ともに、一人称が変わります。その一人の視点から見た被害者山浦美津子の人物像も各章ごとに変わります。
    そして、前の章で重要な容疑者となっていた人が、次の章では一人称の語り手となり、全く違う推理を展開していきます。

    人物ごとに語る角度が違い、それぞれが違う結論に辿り着きます。その4人すべてを見渡せるのは、読者だけです。

    いろいろな角度に反射するプリズムを、読者は自分だけの視点でとらえなければなりません。
    そういう意味で、新しいタイプのミステリーだと思いました。

    ちなみに、僕が達した結論は、山名が犯人だという結論です。
    南條を犯人に仕立て上げるために、周到な準備をして、山浦を殺害したという結論です。小学生が殺人をおかすという乱暴な結論ですが、考えてみるとこの推理しか妥当性をもたないような気がします。。。

  • 2010/08/16(月)
  • 慟哭(ネタバレあり、注意) 貫井徳郎

    慟哭



    先日読んだ「愚行録」に感銘をうけて、本格的なミステリーが読みたいと思い、貫井徳郎の小説をまた読みました。

    「慟哭」です。

    連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。


    以降、ネタバレです。


    (なぜか、最初のほうで犯人が分かってしまいました。これが作者の意図なんですかね。、、、ミスリードを誘って、読者を翻弄する。すごい技術です。)

    捜査一課長の佐伯。彼が連続幼女誘拐事件の犯人を追います。しかし、操作は難航し、なかなか犯人が見つからず、次々と少女が殺されます。

    この佐伯の章と、三人称「彼」の視点で描かれる章が交互に描かれます。

    「彼」は娘を失ったことで、人生の全てを失い、新興宗教にハマり、そして娘に似た少女を殺害します。

    佐伯が警察官で、「彼」が犯人という構図ですが、なぜか序盤で佐伯=彼なのでは。と思ってしまいました。随所にそう思わせる記述があったからです。
    「彼」は胸にぽっかり開いた穴を埋めるために新興宗教団体にハマっていきます。

    佐伯には幼い娘がおり、その娘を失ったという穴を埋めるために、新興宗教団体にハマるという展開だと思いました。

    しかし、途中から佐伯は「彼」では無いという展開になります。「彼」は犯人であり、佐伯はそれを追っている捜査一課の長だからです。
    それに、「彼」の苗字が松本であるというのが確実になります。これは偽名ではなく、新興宗教に入るときにきちんと本人確認書類を提出しているので間違いないのです。

    では、犯人は誰なのか。。

    結局犯人は佐伯なのですが、ラストですべてがひとつに繋がるのがものすごくスムーズで感銘をうけました。

    物静かで淡々とした文章なのですが、読者を飽きさせることなく読ませる文章力はすごいと思います。他の作品も読んでみようと思います。

  • 2010/08/09(月)
  • 愚行録 貫井徳郎

    愚行録
    一家を惨殺した≪怪物≫はどこに潜んでいたのか? さまざまな証言を通して浮かび上がる家族の肖像、そして人間たちの愚行のカタログ


    ハンサムな夫、美しい妻、可愛い子供2人。惨殺された4人にの関係者にインタビューをする形で物語が進みます。
    夫の大学生活、妻の大学生活。関係者の語り方に、人間の愚行がみえるという作品です。

    初めて読んだ貫井作品ですが、悪意がとてもたくさん詰まっていてよかったです。
    インタビューを受けた人全員が、自分の悪意を隠そうと必死です。しかし、喋りすぎて悪が丸出しに。

    推理小説としての完成度は非常に低いです。作品の冒頭に犯人の名前がかいてあります。
    しかし、人間の黒い部分を描いた作品としては一級品だとおもいます。

    問題点。
    犯人の殺人への動機が単純かつ、突発的すぎる。
    出てくるひとがみんなよくしゃべる。というかしゃべりすぎ。
    犯人の生い立ちと、学歴に隔たりがありすぎて、素直に受け入れられない。
    犯人の外見にも疑問あり。

    あら探しをすればいくらでも見つかる作品です。
    しかし、人間の黒い部分を見たい方には超オススメです。

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