fc2ブログ

カブシキ!

  • 2016/09/07(水)
  • 高校入試 湊かなえ

    高校入試 湊かなえ

    県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす! 」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂!

    久しぶりに湊かなえを読みました。

    この小説は、ドラマの脚本を小説化したもののようです。
    告白のように、それぞれの登場人物の視点から、順々に物語が語られます。
    そして、同時刻にネット掲示板にかかれた投稿も、リアルタイムにかかれていきます。

    いったい、ネット掲示板に書き込んでいるのは誰なのか?
    沢山出てくる学校の教師のなかに、真犯人が居そうなのはわかりましたが、わざと真犯人はネット掲示板なんかに全く興味がないような人物に設定されています。

    ミステリの要素と、他人が自分をどう思っているのかを深く書き込む、湊かなえのスタイルが踏襲された良い作品だと思いました。
    一日で読めました。
    スポンサーサイト



  • 2015/03/24(火)
  • Nのために 湊かなえ

    Nのために湊かなえ

    超高層マンションの一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。
    現場に居合わせたのは20代の4人の男女。
    それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。著者初の純愛ミステリー。


    湊かなえです。

    過去のドロドロとした作品群と比較すると、ブラックな部分が少ない作品です。
    登場人物たちが純粋で、誰かのことを一途に想っていて、読み進めるにつれてその想いが明らかになってくるという構成になっています。

    最初は、杉下希美という22歳の大学生の話す事件の概要から、物語が始まります。
    超高層、高級マンションに住む、ちょっとセレブな野口夫妻が遺体で見つかります。現場に居たのは、若い男女4人。
    最初は、4人が男なのか女なのかもわからない作りになっています。

    その後、成瀬慎司、安藤望、西崎、それぞれの「N」のそれぞれの視点から、事件までの経緯が回想されます。

    そしてわかってくるのが、だれもが自分だけの「N」のために行動して、今回の事件が起こったことです。
    それぞれの「N」とは誰なのか。という視点で読んでいくと面白く読めます。

    いままでの湊かなえ作品にはかならず毒がありましたが、この作品には毒がありません。
    純愛がが描かれているのです。

    湊かなえの毒を期待して読んだ人はがっかりすると思います。
    この作品は純粋な気持ちで読んで下さい。

  • 2014/04/22(火)
  • 白ゆき姫殺人事件 湊かなえ

    夜行観覧車以来の湊かなえです。

    白雪姫湊かなえ

    化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。


    この小説は、殺害された三木典子の周囲に居る人たちの一人称のみで語られます。
    聞き手は、フリーライターの赤星雄治。

    殺害された三木典子の、後輩の里沙子、同僚の城野美姫、元交際相手の篠山聡史、城野美姫の大学時代の友人、城野美姫の小学校時代の友人、へ赤星雄治はインタビューをしていきます。

    それぞれの人物から見た、三木典子、城野美姫の人物像が語られます。
    この作品で湊かなえが書きたかったのは、「他人から評価」と「自己評価」の乖離だと思います。

    自分では、城野美姫は篠山聡史と付き合っていたと思っていましたが、篠山聡史は全然そんなこと思っていなかったり、親友だと思われていた大学時代の友人が、城野美姫のプライベートをペラペラと喋ったりと、他人から思われている自分と、ペラペラ喋ってしまう自分は全く違う人物であることが描かれます。

    これは湊かなえの真骨頂とも言える書き方、主題の選び方です。以前の作品たちも、女性の内面の怖さをわかりやすく書いています。この作品もハズレなし!
    女性の内面の怖いところ、存分に描いています。

  • 2013/08/31(土)
  • 夜行観覧車 湊かなえ

    久しぶりの湊かなえです。

    夜行観覧車

    高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。
    遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。
    その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。


    この小説は推理小説ですが、犯人は高橋淳子ということがすぐにわかります。

    話の中心になるのは、「なぜ高橋淳子は夫を殺したのか」

    いわゆるwhy done itということになります。


    高級住宅街のひばりヶ丘。

    エリート医師の高橋家。
    普通のサラリーマンが無理して建てた遠藤家。
    昔からひばりヶ丘に住んでいる小島家。

    物語はこの3つの家の住人の視点から語られます。


    高橋家は、エリート医師の高橋啓介を中心に妻の淳子(美人妻)と、良幸(啓介と前妻の子)、比奈子、弘幸の3人の子供からなります。

    遠藤家は、普通のサラリーマンですが、無理して高級住宅街に家を構えた一家として登場します。

    小島家は昔からひばりヶ丘に住んで居ますが、子供もひばりヶ丘を出て行って、妻である小島さと子だけが一人でひばりヶ丘に住んでいます。

    事件は高橋家で起こります。
    妻の淳子が夫の啓介を撲殺するという事件です。

    犯人は淳子であるとすぐにわかります。


    その模様を、向かいの家である遠藤家から。
    小島家から。
    そして、高橋家の子供たちからの目線で描きます。

    この小説で書かれているのは、
    問題無さそうに見えても、どの家もいろいろと大変なんだよ。
    というテーマです。


    高橋淳子が夫を殺した動機が、一番のポイントですが、
    その動機は、一緒に暮らしていた人間にしかわかりません。
    作品の最後で、週刊誌が報じたこの殺人事件の真相が書かれていますが、その記事は全く的外れの動機を書いています。


    それぞれの家に、それぞれの事情があり、それは周りの誰にもわかりません。
    当事者だけの問題であり、当事者にしかわからないのです。


    他の湊かなえ作品に比べると、毒が少ないように思いました。

    あまりオススメではないです。。

  • 2009/12/10(木)
  • 贖罪 湊かなえ

    贖罪
    湊かなえです。

    「告白」、「少女」につづき、女性の内面の恐さを上手に描いています。
    もう彼女はこの分野を確立してしまった感があります。
    前2作と同じような書き口で、湊ワールドを展開しています。

    小学4年生の女の子5人。
    8月14日のお盆の時期に校庭で遊んでいた彼女たち。その中の一人エミリがある男に殺されます。
    他の4人は男の顔を目撃していたはずなのに、誰も男の顔を思い出せない。

    エミリの母は、4人を憎み、小学生である彼女たちにとんでもない言葉を浴びせます。

    小学生の4人。
    エミリの母。

    この5人のその後の運命がかかれます。それぞれが、この事件が発端となる心の問題を抱え、その問題が大きく彼女の人生を変えます。

    物語は、一人ずつの手記とかインタビューという形でかかれます。
    全部で5章から成ります。
    章ごとににそれぞれの人生が描かれます。そしてすべての人生は、あの殺人事件に大きく影響されています。

    湊ワールドですね。

  • 2009/03/28(土)
  • 少女 湊かなえ

    少女

    高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?

    湊かなえです。
    『告白』に引き続いて読みました。
    告白ほどの黒さがないのは、主人公が女子高生たちだからかもしれません。

    女子高生の日常が淡々と書かれているようで、すこし力が抜けますが、一見無意味な描写も実は意味を持っていて、最後の章ですべてが繋がります。
    由紀と敦子と詩織、バラバラに行動しているように見えますが、実はすべてが伏線なのです。なかなかやるなあ、湊かなえ。
    と思わせる作品でした。

    ミステリーとは言えませんが、すこし謎のある小説でした。
    湊氏の今後に期待です。

  • 2009/03/01(日)
  • 告白 湊かなえ

    告白

    我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。

    湊かなえという作家の作品。デビュー作です。
    友人の薦めで読んでみました。正直期待はしていなかったのですが、予想に反して大当たりでしたー。
    怖い小説です。




    各章ごとに一人称が変わって、最初の章は担任教師の視点から話が進み、
    次の章は、学級委員の女子生徒の視点から。
    次の章は、担任教師の娘を殺した男子生徒の視点から。

    いろいろな視点からみると、事件の捉え方がそれぞれ違います。
    全員が「自分は可哀相な人間だ、自分は不幸だ。自分こそが正しい人間だ」という前提の下で話を進めます。

    考えてみれば人間はみんな自分を正当化して生きているのだと思います。僕はこの小説の中に出てくる渡辺修哉という男子生徒に自分が似ていると思いました。
    渡辺がどんな生徒かは、本文を読んでみてください。僕に似ています。とても自分勝手です。そして彼は小説の最後に制裁を受けます。

    よく書かれた小説ですが、何点かツッコミどころがありました。
    ・学級委員の女子が薬局で薬品を購入するところを渡辺が「たまたま」目撃した。
    ・担任教師の森口が、生徒の牛乳にウイルス入りの血液を混入したのに、その彼氏が「たまたま」気がついて、その牛乳を回収した。
    ・最後に出てくる森口の生徒への制裁は要らなかったかと。制裁が無い状態で終わっても小説として完成してたのでは。

    こういうツッコミを書いていると、東野圭吾の「殺人の門」という黒い小説と対比してしまって。。東野小説の完成度と比較すると、本小説はまだまだ改善点があるようなきがしました。
    結局東野賛辞で終わってしまってスミマセン。

    Top

    HOME

    名無し

    管理人: 名無し
    住所:
    年齢:30歳代
    投資:株主優待
    趣味:

    株ブログ 株主優待へ
    病気ブログ 医者・医師へ

    月別アーカイブ