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カブシキ!

  • 2010/01/28(木)
  • ルパンの肖像 横山秀夫

    ルパンの消息


    横山秀夫です。

    初期の作品だそうです。
    14年前に自殺と処理された女性高校教師の死。14年後になぜか警察にタレコミが入る。
    「あの事件は自殺じゃない。殺人だ。」

    女性教師の教え子の3人に容疑がかけられ、取調べが行われる。
    この3人に絡めて、かの3億円事件の重要参考人だった男も絡んで来て、事件の結末は意外な方向へ。。。

    1980年代くらいの時代背景でしょう。高校生が学校をサボって喫茶店に出入りしたり、喫煙をすることがカッコ良しとされているような時代です。
    言葉遣いも、服装も、その時代です。

    さすがは横山秀夫ですね。結末は予想もできない人物が犯人となります。

    この作品をステップに、横山はたくさんの作品をのこしてきたのだと考えると非常に大切な作品に思えてきました。
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  • 2009/06/12(金)
  • 陰の季節 顔 横山秀夫

    陰の季節


    警察一家の要、人事を担当する二渡は、天下り先ポストに固執するOBの説得にあたるが……。警察小説の新たな地平を拓く話題作

    D県警を舞台にした「陰の季節」「地の声」「黒い線」「鞄」の4作品から構成されています。
    どれも横山色の強い作品で、とても面白いです。どの作品も異なる警察官が主人公ですが、物語を通して出現する二渡という男が非常にかっこいいです。
    一番良かったのは、「鞄」という作品で、警務部秘書課で「議会対策」にあたる男の話です。議会で警察に対する質問が来たときに署長が答えるべき答弁を考えるという仕事なのです。縦社会らしいといえば、縦社会らしいですが、、そんなことをしている人が居るのかと。。がっかりしました。台本がないと質問にたいする回答も満足に出来ないのかと、署長がかわいそうになりました。

    で、「黒い線」の主人公の平野瑞穂という23歳の婦警にスポット当てたのが、
    次に紹介する「顔」です。

    顔横山

    「だから女は使えねぇ!」鑑識課長の一言に傷つきながら、ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。瑞穂が描くのは、犯罪者の心の闇。追い詰めるのは「顔なき犯人」。鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。

    瑞穂は犯人逮捕のための「似顔絵」を描くのが得意なのですが、この似顔絵描きをめぐって、警察内でいろいろなことが起こります。本当にこんな事件があるのかなあと思わせるくらいのリアルさで描かれています。面白いです。

    横山秀夫は、警察物を書かせたら日本一ですね。警察の内部を知りすぎている。
    凄いひとです。

  • 2009/02/26(木)
  • 震度0 横山秀夫

    震度0

    阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、四年前の選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口がなかなか掴めない……。

    ハマリにハマってる横山秀夫です。
    非常に良かったです。

    阪神大震災、警察官の失踪、ホステス殺し、選挙違反、いろいろな事柄が出てくるのですが、最後にはひとつの線で繋がります。
    大きなドンデン返しはないのですが、最後は非常に良い感じでおわります。

    この小説は、警察幹部の権力争い、内輪もめ、妬み、が主題になっていて、ほとんどがその描写に割かれます。ずっと警察内部の痴態を書き続けていると言ってもいいかもしれません。
    実際の警察の内部もこんな感じなのかと想像しますが、、、実際はどうなのでしょうね。僕らには分からない世界ですから、本当にこんなにギクシャクしたところなのかと思ってしまいます。
    医者が医療ドラマを見たときに、「ありえねー!」って思うが如く、警察の方がこの小説を読んだら「ありえねー!」って思うのかもしれません。こんな内輪でもめて足の引っ張り合いをしていたら、仕事にならないと思いますが、、実際にここに出てくる人たちはほとんど仕事をせずに、他人の足ばっかり引っ張っています(汗)

    ボリュームもあって、非常に内容が濃いです。是非読んでみてください。

  • 2009/02/01(日)
  • 第三の時効 横山秀夫

    第三の時効

    殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。


    非常に良かったです。
    2009年、1月にして既に今年のベスト読書に決定しそうな勢いです。横山秀夫の警察小説、熱いです。

    F県警の強行犯シリーズです。
    一班の朽木、二班の楠見、三班の村瀬。F県警の強行犯捜査係は三つ有り、どの班長も一癖あるのですが、とても切れる。
    横山氏の描く、男くささ。40代男の熱さを書かせたら氏の右に出るものはいません。

    F県内で起こる様々な凶悪事件に、警察が挑みます。その犯人は一癖も二癖もあるのですが、犯人を上回る班長たち。熱いです。

    一番良かったのは、表題作となった、「第三の時効」です。
    楠見のキレ具合が最高でした。沈着冷静。すごいです。

    踊る大捜査線。相棒。警察ドラマにヒット作が多々ありますが、なぜこの「F県警シリーズ」をドラマ化しないのかと。
    ドラマ化されたら絶対に見ます。それくらい熱いです。
    必読。

  • 2009/01/28(水)
  • 真相 横山秀夫

    真相

    犯人逮捕は事件の終わりではない。そこから始まるもうひとつのドラマがある。──息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔「真相」、選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければならない理由「18番ホール」など、事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。

    横山秀夫の短編集です。
    相変わらず、中年の男性の心理をうまく描写しています。さすがです。

    この本には5編の短編が収録されているのですが、一番良かったのは最後に収録されている「他人の家」でしょうか。
    強盗致傷を犯してしまったあと、服役を終えた貝原英治は、更正し、真面目に生きていくために必死で働きます。しかし、元犯罪者、しかも強盗犯という過去が彼の更正の邪魔をします。やっとの思いで借りることが出来たアパートを、なんの前触れもなく追い出されたり、普通の企業には就職できなかったり。

    そこに佐藤という老人が現れて、彼の更正を助けてくれます。
    しかし、佐藤老人は自分の家を貝原に相続させるように手配したあと、すぐに逝ってしまいます。

    佐藤という姓と、持ち家を手に入れた貝原ですが、その家に隠された真実を知ることによって、佐藤老人の狙いを知ります。

    実に、「人物が良く書けているなあ」と思います。さすがです。
    そして、短編なのですが、うまく伏線が張ってあって、大きな裏切りと共にその伏線がすべて回収されます。すべての短編がアンハッピーに終わるのですが、その中に男の葛藤があって、つまらない疑心から始まる重大な勘違いがあって、ストーリーに大きく影響を与えます。なぜか後味は非常に良いのです。

    横山秀夫、熱いです。

  • 2009/01/11(日)
  • 半落ち 横山秀夫

    半落ち


    「人間五十年」―請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。全面的に容疑を認めているが、犯行後二日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。感涙の犯罪ミステリー。





    映画は見たことがあったのですが、どうしても原作が読みたくて、読んでみました。
    映画には無い良さがあります。是非原作のほうを読むべきです。

    梶聡一郎(49歳)は警部の立場にありながら、妻を殺害してしまいます。アルツハイマーになり、記憶が無くなっていく妻を想っての殺害でした。犯行の3日後に梶は自主します。犯行を全面的に認めます。自主までの2日間、梶はなにをしていたのか。それがこの小説の焦点なのです。

    その2日間の謎が、6人の男の視点から語られます。6人の男、検事、警部、新聞記者、などの視点から梶聡一郎という男を見ます。全員『オヤジ』です。オヤジ小説を書かせると、横山秀夫の右にでるものは居ません。

    志木和正の章

    佐瀬銛男の章

    中尾洋平の章

    植村学の章

    藤林圭吾の章

    古賀誠司の章

    6人にそれぞれの仕事があって、それぞれに家族があって、生い立ちがあって。すべての章に感動があります。この小説は梶聡一郎だけを題材にせず、それにかかわる男たちの生き方も描きます。横山秀夫らしさ全開です。

    映画を先に見ていましたので、ある程度の『オチ』は分かっていたのですが、小説はオチなんかどうでもいいくらい、登場人物に深みがあります。またまた横山秀夫にやられました。最近横山秀夫にハマリ気味です。

  • 2009/01/08(木)
  • 動機 横山秀夫

    動機

    署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。男たちの矜持がぶつかりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など珠玉の四篇を収録。

    横山秀夫の短編集です。
    四篇ありますが、どれも読み応えがあります。
    良かったです。

    小説家にはそれぞれ得意分野があって、その分野の物語を自分の作品の中心におきます。横山秀夫に於いては、『警察、検事、裁判官、弁護士、新聞社』などが得意分野で、この小説でも、警察とか裁判官が主人公となります。これは氏がかつて新聞記者をしていた歴史を有しており、このことが作風に大きく影響しています。
    警察の内部、裁判官の内部、全く知らない世界ですが、この小説を読むと少し想像できる世界になってきます。

    四篇すべてに魅力がありますが、敢えて順位をつけると、

    1位 密室の人
    居眠りにより失脚する裁判官を描いた作品です。公平、毅然だと思われている裁判の世界ですが、とんでもない策略や欲望が渦巻いています。どこの世界にも『秘密』はあるわけで、、、詳しくは書きませんが、主人公の妻はかなり強かです。怖い。

    2位 逆転の夏
    殺人事件で人生を棒に振った男が出所後に再起を賭けて働きますが、、、男の影で暗躍する欲望と利、それに翻弄される主人公をうまく描写しています。果たして影で主人公を操る人物は誰なのか、最後までドキドキでした。

    3位 動機
    表題作。真骨頂の警察ものです。紛失した30冊の警察手帳、犯人は内部のものなのか。。横山小説には、いい意味での『オヤジ』がたくさん出てきます。この作品のオヤジたちも本当に良いオヤジです。

    4位 ネタ元
    女性新聞記者のお話。男社会で頑張る女性の姿をうまく描写しています。女性だからこそ分かる『理不尽さ、悔しさ』がにじみ出ています。

    密室の人を一位に持ってきたのは、ラストの良さですかね。ハッピーエンドではないのですが、なぜか後味が良いのが不思議です。是非中年男性に読んでいただきたい小説です。面白いです。

  • 2008/12/03(水)
  • クライマーズ・ハイ 横山秀夫

    クライマーズ

    1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。


    横山秀夫氏の作品を初めて読んでみました。氏は大学を卒業後、群馬県にある上毛新聞社に入社、12年間記者として生活しています。1985年の日航ジャンボ機墜落事故のとき、まさに群馬県で記者をしていたのです。その後作家に転身した氏が書いた渾身の作品です。
    一人の男が、自分の人生の壮年期12年と時間いうを投じた時期を小説の題材にしたわけです。

    面白くないはずがない。

    実際、かなりの集中力で読みました。特に後半は途中で読むのをやめられなかったくらいの内容でした。

    1985年8月、群馬の御巣鷹山で世界最大の飛行機事故、日航ジャンボ機墜落事故が発生します。
    群馬の地方紙、北関東新聞の記者、悠木和雄は、日航ジャンボ機墜落事故の全権デスクを任されます。昔、仕事中の交通事故で後輩を亡くしたために出世から遅れ、いまだに現場を踏んでいる男が、人生を賭けて「日航」の紙面を作ります。
    そこに絡んでくるのが、悠木の登山仲間の安西で、事故の当日、二人は登山を予定していたのでした。さらに、悠木の親子問題、同僚との絆、組織の上下関係などの問題も盛り込まれてきます。

    物語は1985年当時、40歳の悠木目線の描写が中心ですが、合間に17年後(2002年)の悠木の描写が出てきます。57歳の悠木が登山をしながら、40歳当時を思い出し、振り返るという構図です。
    40歳当時、悠木の部下の記者たちは、日航の事故の現場に毎日通い現場の生の状況を紙面に載せようします。悠木も現場主義な人間ですから、彼らの原稿を大事に紙面に、しかも一面に載せようとします。
    しかしその原稿は、幹部のくだらない闘争によってことごとく潰されてしまいます。幹部たちは世界最大の飛行機事故の記事を後輩に書かれるのが面白くないのです。
    部下の必死の原稿が、上司によって潰されてしまう。その間に居る悠木は徹底的に上司と対立し、結果、地方へ飛ばされてしまいます。

    どこの組織も同じです。幹部のくだらない意地や見栄によって、若くて能力のある人間は潰されてしまいます。

    僕はそういうシステムが大嫌いで、自分が上になったら絶対に変えてやろうと思っていますが、、、、実際に上になったときに出来るかどうか、、

    横山秀夫という男が、人生を賭けて書いた大作をみなさんも是非お読みください。

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