1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。横山秀夫氏の作品を初めて読んでみました。氏は大学を卒業後、群馬県にある上毛新聞社に入社、12年間記者として生活しています。1985年の日航ジャンボ機墜落事故のとき、まさに群馬県で記者をしていたのです。その後作家に転身した氏が書いた渾身の作品です。
一人の男が、自分の人生の壮年期12年と時間いうを投じた時期を小説の題材にしたわけです。
面白くないはずがない。
実際、かなりの集中力で読みました。特に後半は途中で読むのをやめられなかったくらいの内容でした。
1985年8月、群馬の御巣鷹山で世界最大の飛行機事故、日航ジャンボ機墜落事故が発生します。
群馬の地方紙、北関東新聞の記者、悠木和雄は、日航ジャンボ機墜落事故の全権デスクを任されます。昔、仕事中の交通事故で後輩を亡くしたために出世から遅れ、いまだに現場を踏んでいる男が、人生を賭けて「日航」の紙面を作ります。
そこに絡んでくるのが、悠木の登山仲間の安西で、事故の当日、二人は登山を予定していたのでした。さらに、悠木の親子問題、同僚との絆、組織の上下関係などの問題も盛り込まれてきます。
物語は1985年当時、40歳の悠木目線の描写が中心ですが、合間に17年後(2002年)の悠木の描写が出てきます。57歳の悠木が登山をしながら、40歳当時を思い出し、振り返るという構図です。
40歳当時、悠木の部下の記者たちは、日航の事故の現場に毎日通い現場の生の状況を紙面に載せようします。悠木も現場主義な人間ですから、彼らの原稿を大事に紙面に、しかも一面に載せようとします。
しかしその原稿は、幹部のくだらない闘争によってことごとく潰されてしまいます。幹部たちは世界最大の飛行機事故の記事を後輩に書かれるのが面白くないのです。
部下の必死の原稿が、上司によって潰されてしまう。その間に居る悠木は徹底的に上司と対立し、結果、地方へ飛ばされてしまいます。
どこの組織も同じです。幹部のくだらない意地や見栄によって、若くて能力のある人間は潰されてしまいます。
僕はそういうシステムが大嫌いで、自分が上になったら絶対に変えてやろうと思っていますが、、、、実際に上になったときに出来るかどうか、、
横山秀夫という男が、人生を賭けて書いた大作をみなさんも是非お読みください。