カブシキ!

  • 2017/07/25(火)
  • 幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 橘玲

    橘玲 幸福の人生論


    作家であり、社会評論家でもある橘玲氏の集大成ともいえる内容で、初めて「ひとの幸せ」について真正面から取り組んでいます。
    幸福であることを条件づけるものは、「自由」「自己表現」「共同体=絆」の3つである。
    橘氏は、「幸福」は、しっかりした土台の上に設計するべしとし、その人生の「インフラストラクチャー」を前述の3つに対応させて、以下に求めます。
    「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」。
    この3つの資本の組み合わせによって生まれる「人生の8パターン」によって、すべてのひとびとの「幸福」のカタチが説明できるとしています。社会資本(中学からの友達ネットワーク)しかない田舎のマイドルヤンキーは、「プア充」。「友だちネットワーク」から排除されるとたちまち3つとも持っていない「貧困」に陥る。金融資産がなくても、高収入を得られる職業につき、友だちや恋人がいれば、人的資本と社会資本を持っている「リア充」。人的資本と金融資産があって社会資本がないのは、「金持ち」の典型、という具合。3つの資本をすべてそろえることは難しいが、せめて2つをそろえれば「幸福」といえる状態になるのではないか。では、どうすれば2つをそろえることができるのか…、そして「幸福」になれるのか、3つの資本を解説しながらその答えを追いかけます。


    いままで橘玲氏が述べてきたことの集大成的な本です。
    今回の本の一番のポイントは、我々の持っている資本を3つに分類し、それをもとに人生を設計していくことを提案していることです。

    「金融資産(資本)」 お金、証券、不動産などの資産  自由
    「人的資本」  一般的な労働(知的労働だけでなく、会社や社会的地位など。) 自己実現
    「社会資本」 友人、家族、親戚、会社の上司、同僚など、ひととのつながり 共同体=絆

    これら3つの資本の、有り、無しで、人生のパターンが8つに分類されます。

    4超充実

    全部もっているひと。
    これはすごいですね。
    氏はこれを超充と名付けていますが、こんなことは有り得ないと言い切ります。

    それは、金融資本と、社会資本がしばしば対立するからだそうです。
    お金(金融資本)を持っているひとは、それを稼ぐ過程で周りの人との付き合いを絶たないといけないタイミングがあるようです。

    人的資本(恵まれた仕事)と金融資産(じゅうぶんな財産)があれば、面倒な人間関係を切り捨てても困らないというこです。その典型が、投資家やトレーダーということのようです。(図7)

    78お金持ちとトレーダ

    図8は、金融資産と社会資本を持ちながら人的資本がない(働いてない)ひとの例です。
    イメージとしては、気前よく財産をばら撒いて人気者の「旦那」のようです(笑)


    10ソロ充

    図10は、人的資本のみをもっており、金融資産や社会資本を持たないひとです。
    イメージとしては、仕事人間でしょうか。仕事に生きがいを感じていますが、給料は安く、忙しすぎて周りのひとのとの付き合いが希薄になっているひとのようです。
    仕事は充実しているが、プライベートが薄っぺらのイメージです。これをソロ充というようです。


    図3は、社会資本をのみをもち、金融資産と社会資本を持たないひとです。プア充と呼ばれます。
    本文では、いわゆる「マイルドヤンキー」を例にあげて、地方のショッピングセンターにいつも同じ仲間で集まって、軽自動車で移動して、安い食材をみんなで食べて充実している様子を描写します。
    貧乏で、仕事もないけど、いつも仲間とつるんで、同じ空間と価値観を共有して、どこか幸せそうです。


    23プア充と貧困


    図4は、「貧困」です。
    なにも資産を持たない、仕事もない、信頼できる仲間もいない。すべての資産から遠ざかってしまったひとを本当の貧困と呼ぶのだそうです。

    → ここから何を学ぶか

    このように人間の幸福を3本の柱でシンプルに考えると、自分のいる位置がはっきり分かってきます。
    わたしは、ある程度の金融資産を持ち、医師としての人的資本も持っているつもりです。
    年齢を重ねてから気がついて来たことに、「友達が減ったな」というのはありました。社会資本は少ないのです。
    中学校、高校時代の友人とは金銭感覚が合わなくなり、医学部時代の友達とも、(わたしは政治空間で、貨幣空間の話をしてしまうので)価値観が合わなくなってきたことを感じます。わたしは社会資本を最小化していたのです。

    なので、わたしが居る位置は図7の金持ちということができます。(金融資本は少ないです(汗))

    では、自分はどこに向かおうとしているのか。
    社会資本も増やして、超充をねらうのか、
    いまのまま、金融資本を増やして金持ちになるのか。

    答えは、金融資本をどんどん増やして、金持ちを突き詰めてやろうということだと思いました。これがわたしが歩んでいく道です。
    医師としての人的資本は、これ以上は大きくならないだろうし、医師という仕事を辞めた瞬間にゼロになってしまうので、これからわたしが伸ばしていくべきところは、金融資本ではないかと思いました。
    社会資本は、医師としての人間関係よりも、投資家としての人間関係を突き詰めて大きくしていくべきかなと思っています。

    金融資本と、社会資本を伸ばした状態で、医師を辞めたとき、わたしには「旦那」のような老後が待っているでしょうか。


    政治空間と貨幣空間

    権力ゲームは戦国時代や三国志の世界で、その目的は、集団のなかで一番になること(国盗り)と、異なる集団のなかで自分の集団を一番にすること(天下平定)です。もちろんみんなが勝者になれるわけではありませんから、集団のなかでどのように振る舞うかもこのゲームでは重要になります。この権力ゲームの行なわれるフィールドが政治空間です。

    それに対してお金儲けゲームの目的は、与えられた条件のなかでもっとも効率的に貨幣を増やすことです。権力ゲームは勝者総取りが原則ですが、お金儲けゲームはなにがなんでも一番を目指す必要はありません。べつに世界一のお金持ちになれなくても、ほぼほぼ裕福な暮らしができればみんなハッピーなのです。 このゲームのフィールドが貨幣空間になります。



    前半の権力ゲームの舞台が、政治空間で、
    後半のお金儲けゲームの舞台が、貨幣空間です。
    わたしたちは、この二つの空間を同時に生きています。普段はこの空間の違いを意識すること無く。
    しかし、この空間の違いを意識できるようになることで、自分がいまどの空間にいるのか、どう振る舞うべきなのか、客観的に自分の立ち位置をみることができるのではないかと思うようになりました。

    政治空間には愛情や友情だけではなく、嫉妬や憎悪、裏切りや復讐などのどろどろとした感情が渦巻いています。恋愛から戦争まで、人間ドラマのすべては政治空間で繰り広げられるのです。

    それに対して貨幣空間はお金を介したコミュニケーションなので、ものすごくフラットです。いつも買い物をする八百屋のおじさんに愛情や憎悪を感じるひとはいません。通販でモノを買う場合は、相手が何者かなんて考えもしないでしょう。この冷淡さがあるからこそ、貨幣空間は無限に広がっていけるのです。



    自分の生きている空間で言えば、普段、医師として働いている空間は政治空間でしょう。
    家族との時間も政治空間でしょう。
    それに対して、このブログを通じて、株式投資を楽しみ、利益を得ている自分は間違いなく貨幣空間の住人でしょう。
    わたしは、一日の中で、政治空間にいる時間と、貨幣空間に居る時間があるのです。

    両者は相容れませんが、同時にわたしのなかに存在することは確かのようです。

    政治空間に生きている時間は、できるだけ貨幣空間のことを忘れて、嫉妬や憎悪、裏切りや復讐などのどろどろとした感情にも感心があるように振る舞うのが良いのでしょう(本当はまったく興味がない)。
    貨幣空間に生きている時間は、とても好きな時間です。このブログを書いている時間や、株式投資についてあれこれ考えている時間や、ツイッターのタイムラインを眺めている時間、だれとでもネットを介してフラットに接することができますし、なによりストレスが無く、空間が無限に広がっている感覚が非常に気持が良いです。


    貨幣空間と政治空間客観的主観的


    図24はひとが主観的に感じる、愛情空間、友情空間(政治空間)と、貨幣空間の大きさです。

    わたしにとっては、大きな「びっくり」なのですが、、普通のひとは、主観的には貨幣空間を殆ど意識すること無く、愛情空間や友情空間(政治空間)を生きているようです。
    本当は(客観的にみると)、貨幣空間をもっと意識すべきなのに、、(右図)

    びっくりでした。
    わたしは、みんながみんな、貨幣空間を大きなものと感じていると思っていましたので、、
    貨幣空間を大きく感じているわたしは、「異質」だったです。
    このことは大きな気付きでした。ここから、わたしは貨幣空間を大きく意識しながらも、あたかも愛情空間や友情空間を過大評価しているように振る舞えば、政治空間での成功できることがわかります。

    そのことに気が付かせてくれた本書はとても価値にあるものになりました。



    その他、付箋したところを箇条書きに。

    限界効用逓減の法則

    1. 年収800万円(世帯年収1500万円)までは、収入が増えるほど幸福度は増す。
    2. 金融資産1億円までは、資産の額が増えるほど幸福度は増す。
    3. 収入と資産が一定額を超えると、幸福度は変わらなくなる。



    年収は1500万円で、満足は最高に達して、
    資産は1億円を超えてしまうと、満足は最高になるよです。これ以上は、収入や資産を増やしても満足は変わらなくなるようなので、
    わたしはとりあえず、この額を目標としてみようと思いました。

    超金持ちと言われる、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグ、ウォーレン・バフェットも、一定以上の資産を持とうと思わず、必要以上の資産は寄付すると公言しています。自分も早くこのレベルになりたいです。


    すべては富の差異から生まれる



    ウォーレン・バフェット「私の成功のいちばんの理由は米株式市場の長期的な成長に乗ったこと」
    橘玲「ナスダックのITバブルに乗れたことと、2000年代はじめの中国経済の爆発的成長に乗ったこと」

    富の差異から、資産を築き上げた橘玲氏は、限界効用逓減の法則から、金融資産への感心がなくなり、資産運用については書き尽くしたと考えるようになります。

    おそらく、今後はAIやビットコイン、ブロックチェーンによって、金融産業がIT化していくことは間違いないようです。そこにまた、富の差異が生まれ、流れに乗れたひとが億万長者になるのでしょう。


    会社が求めているのが社員の「能力」ではなく、「組織の中で働けるか」だから、 (中略)

    その学生が「興味の持てない仕事、裁量権のない仕事、希望してない地域での勤務」を命じられても、組織の中で縁の下の力持ちの役割を果たせるかどうか。



    すべての教育は洗脳である。
    堀江貴文氏の言葉ともリンクする部分です。日本の教育は会社に順応できる人材を育てる機関なので、その教育の延長にあるのは、社畜でしょう。


    貨幣空間は農耕と交易によって成立したのですから、わずか10000年の歴史しかありません。
    これがひとびとが貨幣空間に僅かにな価値しか認めない理由です。



    改めて、貨幣空間というのは、我々のこころの大部分を占めているものの、その価値を我々が軽視している分野だといえます。
    我々は、無意識のうちに政治空間と貨幣空間を区別し、政治空間(愛情や友情)に貨幣が購入することを避けています。

    政治空間(愛情や友情、いわばワンピースの世界)に大きなウェイトがあると感じるのに対して、それを貨幣価値で測ること(友情は3000円、セックスは3万円)をものすごく毛嫌いします。
    本当は、貨幣価値のほうが大切なのに。

    貨幣空間の際立った特徴はそのシンプルさにあります。
    「正直」「契約の尊重」「見知らぬ人との協力」です。



    ネットオークションの「評価」の世界です。
    見知らぬ人から、「いいね!」という評価をもらえるひとが、正直で契約を尊重しているひとだとみなされる世界が、貨幣空間なのです。
    この世界は無限にそのその裾野が広がっており、富も名声も無限に広がっています。
    政治空間よりも、貨幣空間を尊重することで、わたしたちは無限の富をえることができるようです。

    フリーエージェントは知識社会に最適化して生き方で、「好きなこと」に人的資本のすべてを投資し、官僚化した組織では生み出せないコンテンツやテクノロジー、スキルや知識を独占します。インターネットを通じて顧客と直接つながることができるようになった彼らは組織に従属する必要がなくなり、人間関係を選択することで自由な人生を楽しむのです。



    政治空間が社会を支配する日本では、フリーエージェントのような生き方は否定されがちですが、グローバルな知識社会では、フリーエージェントのような生き方が、勝ち組になっていくのでしょう。


    「つよいつながり」を恋人や家族にミニマル化して、友情を含めそれ以外の関係はすべて貨幣空間に置き換える



    さあ、氏の一番言いたいことがここにありますよ!
    繋がりとか、絆とか、日本人の好きな言葉や最小化していいのです。友情も最小化、ミニマライズ。
    それ以外の関係はすべて貨幣空間です。 
    そう、お金で解決なんです。

    これが、この2017年に最適化された幸福の資本論なんです。
    仕事や友人とかの政治空間は、最小化して、そう、すべて貨幣空間に変換してしましましょう。
    そうすることで、我々は自由になれます(笑)

    これが凡人にはできないことなのです(笑)

    最適ポートフォリオ2017

    ということで、金銭的にも人間関係にもなんのストレスもなく、好きなことに人的資本を集中して自己現実できるようになる、最高のポートフォリオはこれです。
    アメリカのニューリッチが実践している幸福はこれなのです。

    どんな組織にも属さず、誰にも遠慮せず、好きなことを書いて生計をたてている橘玲氏は、読者の声を糧として生きています。
    「ひとは自分と似ているひとからの助言がもっとも役に立つ。」
    わたしは勝手に橘玲氏に似ていると思っています。
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  • 2017/02/07(火)
  • ダブルマリッジ The Double Marriage 橘玲

    重婚er200w

    大手商社のエリート社員、桂木憲一は、妻、大学生の娘と幸せな家庭を築いていた。が、パスポート更新のために、戸籍謄本を取り寄せたことから、生活が暗転しはじめる。なんと、最新の謄本には、「婚姻」欄に、妻の里美と並んで、マリア・ロペスというフィリピン人女性の名が書かれていたのだ。
    実は憲一は20年ほど前、マニラ赴任中に、このマリアと結婚式を挙げながら、一人で帰国したままになっていたのだった。役所に確認すると、そのマリアから、フィリピンの婚姻証明書が送られてきたため、憲一の戸籍に名前が入ったのだという。しかし、日本では重婚は認められていないはずではないか?
    役所に問い合わせると、「刑法には重婚罪がありますが、民法上は、当事者からの請求がないかぎり、行政が重婚を解消する手続きは、定められていないのです」という意外な答えが返ってきた(警察が刑事罰として動くことも事実上ない)。
    さらに数日後、憲一の自宅に、一通の封書が届く。中を確認した妻は悲鳴をあげた。
    送られてきたのは新たな戸籍謄本で、そこには「長男」として「ケン」という名が書かれていた。
    それにしてもマリアはなぜ、今になってこのような行動に出たのか――。
    事実に基づく驚天動地のストーリー。



    橘玲の新作。
    小説です。

    永遠の旅行者」、「マネー・ロンダリング」、「タックスヘイブン
    につづく、国際金融をテーマにした小説です。

    今回は、フィリピンと日本の「重婚」がテーマになっています。

    今回は「戸籍」を扱った作品です。いつものように、金融取引や節税、脱税のスキームが散りばめられた作品とは一線を画しているようです。
    期待して読んだ分、ちょっと裏切られた感じがしました。

    主人公の憲一、ロペスマリア、娘のマリ、それぞれの行動、生き方に、疑問ののこる結果になりました。

    憲一は聡明で、うまく立ち回れるキャラクタという設定なのに、、、
    なぜフィリピンで結婚届を提出してしまったのか。
    部下に裏切られてしまう描写は必要だったのか。
    フィリピンで出会った女性とまた同じように恋に落ちてしまい、大金を払う羽目になる。
    → あまりにも聡明とはかけ離れてしまって、興ざめだった。

    ロペスマリアは美人で、頭の良い女性という設定なのに、、、
    憲一と別れたあとは結局は風俗に身を置くことになっている。
    最終的にスラムに住んでいる。
    →もう少し良い人生を歩んでいる結果でも良かったのではないか。

    娘のマリは、人形のような美人で、モデルの仕事をしているのに、、、
    なぜケンにあれほどまでもこだわるのか、説明できない。
    相談に乗ってくれたテルが、結局そのまま放置される。回収されずに終わってしまう。
    モデルのような格好で、フィリピンのスラム街を歩くのは非現実的。
    →モデルである必要はなかったのではないか


    もう少しストーリーはキャラクタを練ってから書いても良かったのかなと、、
    思わせる作品でした。

  • 2016/01/14(木)
  • 2016年はどんな年になるのか。

    わたしの尊敬する橘玲氏のブログに2016年の予想が書いてあり、とても理論的で参考になったので、考察を書いておきます。

    橘玲氏の2016年予想

    氏は2015年にも予想を書いており、それが構造的な問題なので、「こうなるしかない」という結果を見事に的中させています。
    そして、2016年もこの構図は変わらないので、2016年もある程度予想できると書いています。
    気になったところをピックアップします。

    いまにして振り返れば、アメリカはイラクの復興に完全に失敗してISの台頭を許し、欧米諸国が歓喜した“アラブの春”は破壊と混乱をもたらしただけだった。昨年のノーベル平和賞はチュニジアに与えられたが、逆にいえばそれ以外のイラク、シリア、リビアはフセインやアサド、カダフィによる独裁の方がずっとマシだった、ということだ。

    そうなんですよね。アラブの春として欧米が歓喜し、アラブに民主化が訪れると誰もが予想していましたが、結果は御存知の通り、復興とは程遠い、難民問題とISの台頭によるテロの脅威しか残っていません。
    今後もこの問題を解決することはできず、2016年も中東の政治は不安定のままでしょう。
    ISはヨーロッパをテロの標的にしており、ヨーロッパはEUの経済不安と、テロの脅威に怯えながら、2016年を過ごすことになります。

    中国のひとびとは、自由を求めつつも共産党(毛沢東王朝)による独裁を受け入れざるを得ないという罠にはまっている。そして残念なことに、この罠から抜け出す道はまったく見えないままだ。

    中国は上記のジレンマに囚われながら、今後もバブルのつけを払い続けないといけないという重荷に苦しむでしょう。
    産油国に多額に融資している中国は、資源価格に暴落により、さらに打撃をうけます。人類史上一番大きく膨れ上がったバブルは大きな音をたてて、いろいろなひとを巻き込みながら崩壊していくでしょう。

    日銀によるリフレ政策はすでに失敗しているとして、日本経済に必要なのはマイルドなインフレではなく巨額の財政赤字を処理する「インフレ税」だという。これはいわば、「管理された財政破綻」によって人為的に高率のインフレを発生させ、国家の借金を国民の負担で棒引きにする方法だが、日本の財政赤字はすでに歳出削減のような穏当な方法で処理できる限界を超えているため、過酷な緊縮財政よりもインフレ税の方が最終的な打撃は小さくなるのだという。

    アメリカの一人勝ちの2016年になるでしょう。
    こうなると更に円安は進むと考えています。円の価値がさがり、モノの値段があがる。マイルドではなく、急激なインフレによって、日本は国家の借金を棒引きにしようという提言です。これは、2015年12月15日の日経新聞朝刊「経済教室」に掲載された、アメリカの二人の経済学者(アダム・ポーゼン、オリバー・ブランシャール)による「名目賃金、5~10%上げを」という提言です。

    恐らく日本政府にとれる政策はこれしかないでしょう。
    人為的にインフレを作り出し、国家の借金を返していく。(これは国民の負担になります。)

    円安がすすみ、物価があがると予想しているいま、わたしにできることは、できるだけ現金の「円」を持たないことです。
    具体的には、現金はできるだけ、株式か不動産に変えておく。
    現金を持つにしても、FXを利用して外貨に変換しておく。(好きなオーストラリアドルにしようと思っています。)

    2016年も株を買い続け、そしてFXもやっていきます。
    円のキャッシュはできるだけ持たないようにします。

  • 2015/12/17(木)
  • 「読まなくてもいい本」の読書案内 ――知の最前線を5日間で探検する 橘玲

    読まなくても 橘玲

    橘玲の新刊。

    電子書籍で購入しました。

    氏がいままで書いてきたことを掻い摘んで、まとめて一冊の本にしたような内容です。
    氏は早稲田大学の文系学部を卒業しており、このときに学んだことがBaseにあって、その知識がいかに役に立たないかを論じた本です。

    本の数が多すぎる! だから「読まなくてもいい本」を案内しよう。複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の5つの分野で知の最前線を学ぶことができる。


    この本では、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の最新の知見を紹介しながら、それよりも古い知識がいかにデタラメであったかを説明してくれます。

    わたしは完全なる理系頭なので、内容は半分も理解できませんでした(笑)
    ほとんどをななめ読みして、結局のところ氏がいいたいことはあとがきに集約されていました。
    あとがきの部分を、一部引用します。

    文部科学省が国立大学に人文社会科学系の学部・大学院の統廃合を迫ったことで「教養」をめぐる議論が巻き起こっている。国際競争に勝つために高度な教育はごく一部のトップ大学だけにして、それ以外の大学は職業訓練に徹すればいい、という提言も話題を呼んだ。
    これに対して人文系の学者は、(当然のことながら)「人間力を鍛えるためには教養が必要だ」と反論している。たしかにこの「複雑で残酷な世界」を生きていくためには、知力だけでなく人間力も必要であろうが、彼らは根本的なところで間違っている。(あるいは、知っているのに黙っている) それは、人文系の大学で教えている学問(哲学や心理学、社会学、法律、経済)のほとんどがもはや時代遅れになっているということだ。(中略)
    大学教員の仕事は、「教養」という権威をお金にかえることで、ほとんどの文系の大学は彼らの生活のために存在している。その現実が明らかになるに連れて、風当たりが強くなってきたのは当たり前なのだ。



    自分たちが人生をかけて学んできた学問について、「根本的なところで間違っている」言われたら誰だって怒るでしょうね。
    人文系の大学教員たちは(自分たちの食い扶持を守るために)全力で反対するでしょうが、ここに書いてあることは事実だとわたしも思います。
    人文系の研究は中央の大学に集約すべきでしょう。

    古いパラダイムでできている知識をどれほど学んでも、何の意味もない。



    これがこの「読まなくていい本」を書いた氏の一番言いたかったことでしょう。
    世の中の本のうち、古いパラダイムで書かれた本は、読んでも意味がありません。そんな本を読んでいる時間を新しいパラダイムを体験する時間に充てることができると、非常に有意義にすごすことができるというのが氏の主張です。


    では、なにを学べば良いのか。
    わたしの解釈では、氏がわれわれ人類に学んで欲しい「新しい哲学」は以下の記述に書かれています。

    テクノロジーは、もっと幸福になりたいというひとびとの欲望によって自己増殖していく自律的なシステムだから、それを道徳的な説教や批判で止めることは不可能だ。
    いま必要とされているのは、新しい世界のビジョンを受け入れたうえで、進化するテクノロジーとどのように共生していけばいいのかを示す新しい哲学ではないだろうか。その試金石が生命倫理である。(中略)
    いま、新しい世界を真面目に語ることができるのはシリコンバレーだけだ。それ以外の様々な理想は、歴史の厳しいハードルを超えられずに消えていった。

    グーグルやAmazon、Facebookがひとたび効率的な市場インフラをデザインすると、無数の個人や企業がそれを利用して自由なビジネスを行うようになるだろう- 空き部屋がホテルに(Airbnb)、自分の車がタクシーに(Uber)になったように。お金の貸し借りも閔行ではなく、個人間で行われるようになって(Bitcoin)、政府や重厚長大の古い企業は表舞台から退場していくのだ。(中略)テクノロジーはものすごい勢いで社会や環境を変えつつあるのだ。




    知のパラダイム転換とは、結局はインターネットの登場によって変わってしまったわれわれの生活のことを言っています。
    これを受け入れることができて、うまく利用することが今後、世界でよりよく生きていくためのKeyになることは間違いなさそうです。
    わたしもこのパラダイム転換に乗り遅れないようについていこうと思います。

  • 2015/05/23(土)
  • 橘玲の中国私論 橘玲

    橘玲 中国私論.

    作家・橘玲が世界を歩きながら、経済・金融・歴史などについて独自の感性と考察によりさまざまな事象に新解釈を加えていく新シリーズがスタート。今回は、日本の隣の国、中国がテーマ。尖閣問題など緊迫する日中関係。国家の成り立ち、社会構造が全く違うにもかかわらず、なまじ顔かたちが似ているせいで理解しがたい行動に不満が大きくなる。交流した現地の中国人、歴史、社会システムなどから、巨大な隣人の真実を大胆に解き明かす。経済・金融、人生論、社会批評まで幅広い活躍を続ける橘玲氏による独自の中国社会評論。

    橘玲です。
    いままでの作品とは違って、この作品の前半は旅行記のような内容になっています。
    中国の都市に次々と建設された高層マンション群を実際に訪れて、そのほとんどがゴーストタウン化していることをレポートします。

    モンゴル自治区オルドス、天津・浜海新区、海南島・三亜、河南省・鄭州、モンゴル自治区フフホト、安徽省・合肥、内モンゴル自治区・清水河、河南省・鶴橋、浙江省・杭州、上海・松江区

    こんなにたくさんの都市に、高層マンションが建設され、ゴーストタウン化していく理由を、氏の視点から考えています。
    中国についてかかれた様々な文献を読んで、氏が理解したことをわかり易い言葉で我々に教えてくれます。

    人口が多すぎる。共産党という秘密結社。マンション建設に隠された錬金術。
    中国の国民性と歴史、それを生んだ背景と経済を明かしてくれる名著だと思いました。

    橘玲の新しい世界が見える作品です。

  • 2015/03/22(日)
  • 臆病者のための億万長者入門 橘玲

    電子書籍で購入。

    橘玲氏のブログより。
    タイトルは「億万長者入門」ですが、億万長者になる方法が書いてあるわけではありません。
    アメリカやヨーロッパ、日本のようなゆたかな国は、人類史上はじめて「誰でも億万長者になれる社会」を実現しました。それは同時に、貧乏が自己責任を問われる“残酷な世界”でもあります。

    そんな「ゆたかで残酷な日本」でどのように経済的な土台(インフラストラクチャー)を築いていけばいいのか、というのが本書のテーマです。

    本書は、2013年4月から14年1月まで『週刊文春』に連載した「臆病者のための資産運用入門」をベースに、加筆・再構成のうえ1冊にまとめたものです。株式投資、保険、不動産、外国為替(FX)などについてこれまで述べてきたことと趣旨は同じですが、これは、市場は日々刻々変化するとしても原理は不変で、長期的には(市場原理による)正しい場所へと収斂していくはずだからです。

    連載をまとめることのメリットは、過去の記述を検証できることです。


    臆病者の億万長者入門橘玲


    氏が述べるように、過去の連載を一冊の本にまとめることで、過去の記事を検証しているのが本書の特徴です。
    週刊文春に書いた記事は、結構な確率で未来に起こるだろうことを予想し、的中させています。
    決して、まぐれで当たったわけではなく、非常に論理的に、しかしわかりやすく教えてくれる本です。

    もう何年も前から聞き飽きるくらい言っている橘玲節が随所に散りばめられた本です。
    改めて読むとまた新しい発見があり、付箋を打ちながら、感心しながら読みました。

    備忘録的に箇条書きに。

    資産運用の4月の原則
    1.確実に儲かる話あなたのところには絶対に来ない。
    2.誰も他人のお金のことを真剣に考えたりしない。
    3.誰も本当のことを教えてはくれない。
    4.自分の資産は自分で守るしかない。



    当たり前なんです。普通に考えれば、上記の4つは当たり前ってわかるんですが、、
    お金のことになると、「自分だけは特別な存在だ。」とか「儲かる話を自分だけが知っている。」とか、世の中で一番大切な自分を特別扱いしてしまうことが多いことを教えてくれます。

    投資のおいて最も大事なのは、損をしないことではなく騙されないこと。誰も本当のことを教えてくれず、誰もが自分の資産を(他人から奪ってでも)増やそうとするこの社会では、自分の資産は自分で守るしかないのです。

    株価は、将来の一株あたりの利益の総額を現在価値に換算したものである。

    株式市場は私達が思っているよりも効率的で、日本企業の利益が上がらなければ(PERが下がらなければ)市場の裁定は必ずやってくる。それがいつかは「神のみぞ知る」としても--。(『週刊文春』2013年5月30日号)


    ここでは、株価が決定される仕組みをわかりやすく説明し、この連載の時点で日経平均株価が(PERの観点からみて)高すぎることを教えてくれます。
    2013年5月30日号の週刊文春で、日経平均株価が一日で1143円28銭以上暴落した 2013/5/23の相場を予言しています。
    その時の日経平均株価が、14483円でした。

    わたしがこの記事を書いている2014年6月27日時点での日経平均株価が、15,095円です。
    日経平均株価はまだまだ高すぎる状況にあると言えます。
    さて、次の暴落はいつ来るのでしょうか。神のみぞ知るのです。

    多数の要素同士の関係が錯綜する複雑系の世界は計算の限界を超えていて、確率的にですら未来を予測することは不可能なのだ。



    これは、株価の動きが、正規分布を示すのではなく、ロングテールのような複雑系の動きをするので、しばしば起こる暴騰や暴落は、全く予想できないことを示しています。
    100年に一度と言われるような暴落が何年かおきにやってくるようないまの相場では、株価は複雑系の動きをすると認識して、暴騰や暴落がいつやってきても良いように備えておくことが大事なようです。。

    株式市場が右肩上がりなら、平均的にはほとんどの投資家がプラスの成績を残せるはずだ。しかし不思議なことに、投資家の損得を調べてみると半分以上が損していたりする。長期で持っていれば儲かったのに短期で売ってしまったり、値動きの大きい株に賭けて、思惑が外れて大損したりしているからだ。
    こんなとき株式投資の専門家は、「値上がりした株を長く保有し、値下がりした株は素早く損切りすればいい」という。でもこれは単なる結果論で、どの株が上がってどれが下落するか予めわかるのなら誰も苦労しない。


    利益はさっさと確定してしまいたい、値下がりすると、自分の予想が外れてしまったこを認められずにダラダラと保有してしまい、塩漬け化してしまう。という投資家は多いのです。これを人類の進化の過程で身につけた、「利益を過小評価し、損益を過大評価してまう。人間は出来るだけ損を認めないようにして、進化してきた」と説明し、なぜ多くのひとが株式市場で勝てないかを教えてくれます。
    損と得を同じように評価できるなら、今よりもずっと的確に売買のタイミングを判断できるはずだと思います。


    名目レートに比べて、実質レートが大きく変動しないのは、市場の裁定によって為替レートがモノの値段を同じにしているからだ。これが「購買力平価説」で、日銀の統計データはその正しさを証明している。もちろん日銀は今が「超円安」だとは口が裂けても言わないだろうが


    アベノミクスの結果で、1ドル=100円の時期が相当長くなってきました。われわれは、わずか数年前は1ドル=80円であったことを忘れ、今の為替レートが当たり前だと思っています。冷静に考えれば、いまはものすごい円安です。
    市場の歪みには、いつか裁定が訪れます。それがいつかは、もちろん神のみぞ知るです。
    わたしたちが、備えておかなければならないのは、いつ円安が解消されても資産を守ることができるような、ポジションをとっておくことです。
    たとえば、FXで米ドル売のポジションをとっておくなどの「保険」は必要でしょう。


    収益還元法を知っていると、家を借りるときにとても役に立つ。
    分譲マンションの賃貸では、同じ地区の同程度の物件がいくらで売買されているを先に調べておく。それが仮に2400万円だとしたら収益還元法から適正家賃は年間120万円(2400万円x 5%)だと判断できる。月額家賃が10万円以下なら割安、それ以上なら割高だ。



    簡単な計算だが、とても有益だと思います。
    わたしは賃貸住宅に住んでいますが、この方法で計算するとかなり割安な家賃で住ませてもらっているなあと感心します。


    不動産投資というのは、「インサイダーマーケット」であり、素人がいきなり参加して、まぐれで利益を挙げられるような世界ではない。不動産投資のノウハウというのは、結局のところ「いかにしてインサイダーになるか」ということに尽きるのだ。



    わたしはいまだに不動産投資に手を出せていません。これはいまだにインサイダーに成れていないことが原因です。
    わたしたちがネットで調べて出てくるような投資用物件の情報は、インサイダーが見向きもしない、ゴミ物件だけです。不動産投資とは、いかにしてインサイダー情報を手に入れるかなのです。
    これとは逆に、株式投資などはオープンマーケットで、すべての参加者に平等に情報と条件が与えられて、個人が自由に利益を求められるマーケットなのです。だからわたしは株式投資を好むのだと思います。



    この本が教えてくれる事実は、冷静になって考えれば、ある程度未来は予想できるということ。もちろん予想できないこともありますが、現在ある情報を駆使してある程度の未来は知っておくことができるようです。その時に備えて、他人に騙されないように準備して、自分の資産を守ることができれば、誰でも億万長者になれる可能性があるということが、この本のメッセージと受け取りました。


    2015/03/22 追記
    2014年6月に書いたこの記事を、9ヶ月後の2015年3月に再読してみました。
    そして、本書をもう一度読んでみて、感じたこと、付箋を打ったところを挙げます。

    証券会社の営業マンが高野山の高僧をチヤホヤしたのは、社会的な地位の高い傲慢な客ほど簡単に騙せることを知っているからだ。

    これは、高野山の高僧が証券会社の営業マンの言うがままに30億円をリスク商品に投資して、2011年に15億円の含み損を抱えたという、事実を書いた部分です。
    高僧は自分が世界の中心だと思っており、これを証券会社の営業マンは簡単に騙しました。営業マンはノーリスクで、大きな手数料を得たのです。
    世の中には、お金を持っている無知な人物が沢山居ます。われわれ零細投資家は、無知な人物になってはいけません。
    知識だけは常に身につけておいて、投資の機会がくれば大きく張れるように準備しておくのです。

    そして、投資の機会は決して向こうからやって来ません。自分で探すしか無いのです。


    「いつ買うか、今でしょ」

    ノーベル経済学賞を受賞した経済学者が考えた、株を買うタイミングです。
    身も蓋も無い話ですが、今が買い時なのです。


    歴史上、制御不能のインフレによって悲惨なことが起きた事例は枚挙に暇がないが、中央銀行が人工的にマイルドなインフレを創りだして景気を良くしたケースはまだ無い。黒田日銀の『異次元緩和』が壮大な社会実験と言われる所以だ。

    黒田日銀の政策は壮大な社会実験のようです。
    この記事を書いている2015年3月22日現在、日経平均株価が19500円を超えて、20000円に達しようとしています。

    2014年5月にこの本を読んだ時の日経平均株価が15000円ですから、その時点からさらに5000円近くも日経平均株価が上昇したことになります。

    実態も無いのに、日経平均株価だけがジワジワと上昇している2015年3月22日現在の日本経済は異常と言えるのでしょう。
    いつか暴落がくることは間違いないですが、日経平均は20000円を超えてもっと成長しそうな気もします。

    さて、いつ持ち株を売ってキャッシュポジションを増やすのか。このタイミングを見計ることがわたしの長期投資家としての腕の見せどころのようです。

  • 2014/11/25(火)
  • お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ

    電子書籍で購入。
    黄金の羽根の拾い方2015橘玲

    橘玲です。
    ベストセラーになった、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を、12年ぶりに改定し、その時の記載は10年たった今も正しいのかを検証することを目的として書かれています。
    なので、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の文章をそのまま転載し、それに対して橘玲氏がコメントを入れる形で書かれています。

    わたしの大好きな、橘玲氏の作品ですので、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」はもちろん読み込んでいますし、この12年間の氏の作品も全て読んでいます。
    ベストセラーから12年経って、氏の主張がどのように変わったのか、また変わらなかったのか、興味深く読みました。
    付箋を打ったところを箇条書きに。

    ・ 構造的な歪みはいつか必ず顕在化する。



    これは、氏が35歳まで努めていた出版業界を内情を暴露した箇所の最後に書いてあった言葉です。
    出版業界には構造的な歪みがあり、これが出版業界の自由競争を妨げているとのこと。そして氏の予言通り、出版業界は衰退の一途をたどることになります。
    医療業界にも構造的な歪みはあります。
    生活保護受給者が世界一手厚い医療をタダで受けている現状や、どんなに高い薬を使っても高額医療費制度で払うべき額の上限が決まっていることとか。このような歪みもいつかは顕在化して、制度そのものが無くなってしまうでしょう。

    ・ 橘玲氏にとって会社はキャリアを積むための道具で、会社は橘玲氏の人的資本に利用価値があるから給料を払っているのだ



    これは非常にドライな考え方ですが、氏の会社に対する考え方が凝縮されています。もしあなたに1億円の価値があるとして、あなたという人的資本を一年間会社に預けると5%の年利が得られるとします。1億円の5%ですので、500万円。これがあなたの年収になるということです。
    この考え方は目からウロコでした。まさか自分自身が資本で、それを病院に預けることで給料をもらっているなんて考えたことも無かったからです。このようにドライに考えると、世の中のことは全て、投資に対するリターンということで説明がついてしまいます。
    「誰が誰にいくら貸していて、その対価としていくらの利息を受け取っているか」という風に考えると世の中のことが全て数値化して考えること出来ます。

    ・ 世の中のにはきわめて知性が高く、それと同時に「楽して金儲けしたい」「額に汗して働くなんて真っ平だ」と思っているひとがいる。それも、ものすごくたくさん。



    わたしも楽して金儲けしたいと考えています(笑)
    世の中、そんなひとばっかりでしょ?
    金融業界というのは、本質的にはマネーゲームですので、その特殊性がこのような楽して金儲けしたい人たちを惹きつけます。

    ・ 「成功した人しか本を書かない」



    生き残りバイアスですね。わたしもいままで数々の金持ち本を読んできましたが、その全てが成功者によって書かれた本です。失敗した人たちは本を書く機会もありません。
    本を読むときには生き残りバイアスを考えながら読まないといけません。

    ・法人名義でカーリースをすると、無条件で経費にできる。



    ・(法人化のメリットで)生活費を法人に移転した分だけ家計簿に余裕ができたわけですが、ではこのお金はどうすればいいのでしょうか。正解は「自分の法人に貸し付ける」です。




    ・ 東京都某区の創業支援融資斡旋制度の概要
    融資金利 年0.4%
    融資の上限 1000万円(運転資金は600万円)
    返済期間: 7年
    融資条件: 開業後1年未満(創業前を含む)同一事業に3年以上勤務し、同一事業で開業すること。
    自治体が指定する中小企業診断士の推薦を受けること
    融資は自治体が指定する地域内の金融機関から行われる(金融機関の融資金利は年2.2%)

    これを要約すると、区内に法人登記しただけでまだ事業を始めてもいない、なんの実績もない人間に無担保で1000万円貸してくれるという制度です。年利は0.4%ですので、一年間に払う利息は4万円だけです。
    融資は金融機関から本人宛に行われます。融資金利は2.2%ですが、本人負担は年0.4%で、差額の年1.8%は自治体から金融機関に支払われます




    創業支援融資斡旋制度の実際を教えてくれます。自治体が主催する制度には、こんなに有利なものがあって、これから事業を始めようとするひとは、このような超有利な制度を利用しない手はありません。
    年利0.4%で1000万円も貸してくれるところなんて、まずないです。

    ・ 経済的に成功するには、経済合理的で無くてはならない。国家は神聖なものでも、崇拝や愛情の対象でもなく、人生を最適設計するための道具だ。



    国家も会社もただの制度あり、それを利用し、経済合理的に行動した人に成功がやってくるという考え方です。
    運転免許だって、医師免許だって、すべてただの道具であり、それを使う人によって、いくらでも経済合理的な成果をあげることができるのです。
    大事なのは、常に経済合理的に行動することです。

  • 2014/07/29(火)
  • バカが多いのには理由がある 橘玲

    バカが多いのには理由がある

    橘玲氏の新刊です。
    といっても、週刊プレイボーイに連載している「そーだったのか!?真実のニッポン」をまとめたもので、その連載は毎週読んでいるので、既読の内容でした。

    毎回1200文字程度の連載を、順番を並べ替えて、さらに前後にPrologueとEpilogueを加えています。
    すると、不思議と連載たちに一貫性が生まれて、きちっと一冊の本として筋が通ってしまいます。さすが橘玲氏です。
    既読の内容でも、楽しく読めました。

    Prologueからつづく文章は60ページくらいあり、読み応えのある内容です。主に政治についての内容ですが、そのなかからとくに面白かった、「狂信はどのように生まれるのか」という部分について記しておきます。

    ひとりの若者に登場してもらいましょう。
    地方都市の公務員の家に生まれ地元の高校に進んだ彼は、才能はあるものの学校に馴染めず退学してしまいます。そのとき父親が急逝したため、彼は保険金の一部を相続して上京し、大検での大学入学を目指しますが志望校にはひとつも合格できませんでした。自分では有名大学のどれかには入れると思っていたので、彼は強い挫折を味わいます。
    それから2年ほどは予備校に籍をおきながら秋葉原のAKB48劇場に通い詰める気ままな生活をしていましたが、まじめに勉強することはなく蓄えも底をつき、ドロップアウトしてフリーター生活を始めます。最初は派遣で働き、居酒屋の店員になり、家賃が払えなくなってネットカフェに寝泊まりしながら日雇い仕事も体験します。
    この頃から、彼の様子が変わっていきます。
    最初はブラック企業を糾弾する市民運動に顔を出しますが、ネオリベ批判には共鳴できたものの、従軍慰安婦問題をめぐって口論になり追い出されます。彼はずっと、韓国が歴史問題で一方的に日本を批判することに腹を立てていましたが、市民運動の活動家たちは、「日本が朝鮮半島を植民地にしたから悪いのだ」というのです。
    中学校のときに「きむ」という名の生徒がクラスにいたので、彼も在日朝鮮・韓国人の存在は知っていました。「きむ」は無口でいつもいじめられていたので、彼はかわいそうに思っていました。そんなある日、彼は新宿のハローワークに行こうとしてハングル文字の看板がずらりと並んだ一角に迷い込みます。それまで彼は、日本の中にこんな街があることを知らなかったので驚愕しました。まるで日本が外国人に乗っ取られたかのようです。
    それから彼はインターネットを検索して情報を集め、在日朝鮮・韓国人がさまざまな特権を享受していることを知ります。これに危機感を覚えた彼はネットの掲示板などに大量の投稿を繰り返すようになり、いつしかその世界ではカリスマと呼ばれるようになっていきました・・・。
    在特会の活動に参加する若者のありきたり話だと思うでしょうが、実はこれはある有名な人物の自伝を翻案したものです。時代は1890年台、場所はオーストリアの首都ウィーンでした。自伝のタイトルは「わが闘争」、書いたのはアドルフ・ヒトラーです。



    この文章が秀逸なのは、狂信が生まれた背景を現代の日本に焼き直してとてもわかり易く示してくれることです。
    いつの時代にも狂信は生まれる可能性を秘めており、民族問題は根本的には解決不可能であることを教えてくれます。我々が朝鮮・韓国人を嫌ってしまうのも、本能でありDNAに刻まれた「自分の民族を愛し、それ以外を嫌う」習性にほかならないのです。
    その本質は、ユダヤ人を糾弾したヒトラーの心理と何ら変わらないのです。

    この文章のあとに、週刊プレイボーイの連載が並んでいます。日本人の特性をうまく表現して、それらの問題が根本的にはDNAに刻まれた本能であることを、氏は教えてくれます。

    前作よりもパワーアップして、面白い文章になっています。



    1狂信はどのように生まれるのか (2)
    2狂信はどのように生まれるのか (3)
    3狂信はどのように生まれるのか (1)

  • 2014/06/11(水)
  • タックスヘイヴン 橘玲

    タックスヘイブン橘玲


    永遠の旅行者

    マネーロンダリング

    2010年に上記2つの長編小説を読み、橘玲氏は長編小説も面白いなあという感想を書きました。

    それから4年の時を経て、氏がリリースした、タックスヘイヴン。
    面白くないはずはありません。

    シンガポールでもっとも成功した日本人金融コンサルタント北川がホテルから墜落死した。死んだ北川の妻・紫帆は現地に、高校の同級生・牧島とシンガポールへ赴く。紫帆はそこで北川の現地妻と息子の存在を知る。北川は1000億円を扱うファンドマネージャーだったが、政治家や会社社長など、数々の顧客のプライベートバンクの口座に10億円、50億円規模で穴を開けていた。背後に見え隠れする、日本の首領が仕組んだブラジルへの原子力発電施設輸出計画とそれを見込んだファンドとその失敗。紫帆と大物政治家の過去。大物フィクサーの影と蠢く謎の仕手グループ。そして起こった大物政治家秘書の暗殺。北川の死は自殺か、それとも殺人か? 口座から消えた巨額の資金は、どこへ送られたのか!?

    物語は、日本、シンガポールなどを舞台に、高校時代の同級生でである紫帆と牧島を中心に回っていきます。
    そして、この小説で一番かっこいい存在が、紫帆と牧島の同級生である古波蔵佑(こはぐらたすく)です。
    金融ゴロみたいな仕事をしていますが、ブランド物の服を着こなし、ティアードロップのサングラスをかけています。

    小説のはじめに登場する古波蔵の外見が、どうしても本田圭佑に思えてしまい、以降この小説の古波蔵はわたしの中では本田圭佑の外見をしていました。

    アジアを舞台に、ヒーローとヒロインが活躍するところは、マネーロンダリングと共通するところがあります。
    そして、永遠の旅行者の眞鍋恭一のことを指しているのであろう記述も出てきて、とても嬉しくなりました。

    5月の連休中に一気に読みました。
    展開が早く、途中でラストが予想できましたが、、、最後の黒幕の告白は衝撃でした。北朝鮮の闇の部分を教えてもらいました。そして、黒幕は今後も黒幕で在り続けられるくらい巨大になってしまっている現実も、驚嘆するものでした。

    氏の小説は、フィクションでありながらアジア金融の現状をわかりやすく教えてくれます。
    小説を読みながら、アジアの現状を知ることができました。タックスヘイヴンというタイトルとはいささか離れた内容ですが、とても面白い小説です。

  • 2014/04/28(月)
  • 2014年4月27日に注文、4月28日到着 タックスヘイヴン 橘玲

    Amazonで平成26年4月27日日曜日の朝に注文したら、
    平成26年4月28日月曜日の朝に届きました。
    普通便なのに、、

    早い。Amazon

    平成26年4月28日タックスヘイブン

    橘玲の新作、タックスヘイヴンです。

    永遠の旅行者マネーロンダリングにつづく、長編小説です。
    とても楽しみです。

    GWの読書にします。

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